第8話 守護霊探し



収益になりそうなので1日銅貨5枚のお金を払いテーブルを借りる事にした。


金額は1回銅貨3枚(3000円位)


ほぼ、繁華街でやっていた易者と同じ金額に設定した。


後は、アドバイスが成功した場合の謝礼はお任せにした。


正直言えば、見料だけだと2件で銅貨1枚(1000円)しか収入にならない。


果たして、そう上手くいくのか?


そう思っていたが、そんな心配は皆無だった。


「此処に来れば、商売の相談も受けてくれるって聞いたのだが」


「はい、人生相談ですから何でも相談に乗りますよ!代金は銅貨3枚です、但し上手くいかなくても責任はとりません、あくまで自己判断でお願いします! その代わり成功した場合でも報酬はお好きな金額で結構です」


こんな感じに話した。


そして『霊視』と『霊話』でまず聞きにきた人間の過去を守護霊や指導霊に聞いて伝える。


そうすると驚いた様な顔になる。


そりゃそうだ。


『自分しか知らない秘密』をあった事も無い人間から聞かされるんだからな。


俺としては守護霊から『ただ聞いているだけだ』そしてアドバイスは『守護霊』から聞いた事をそのまま伝えるだけ。


守護霊は憑いている人間を元から『救いたい』そう考えている。


傍で常に見ているし、ある程度仕事や趣味も合っているから、かなりの率でこのアドバイスは成功する。


運よく数件当たったら、後はなし崩し的に相談件数が増えていった。


ただ、怖い事に相談をしに来るのが『商人』ばかりだ。


しかも、相談の内容が金貨1000枚(1億円)以上の商取引きばかり。


そんな相談者が1日5人~10人来るようになった。


そして今の所謝礼は払われていない。


もう少し、上手くいくようになったら、金額をあげて見るか?


という訳で1日銀貨2~3枚稼げるようになり、当座の間生活に困るようなことは無くなった。


『人生相談』としては上手くいっている方だと思う。


「そうですね、小麦を買うか、それともコショウを買うか迷っているんだが、どちらを優先して仕入れるか悩んでいるんだ」


「それなら小麦ですね、今帝国ではコショウが余っていて小麦が足りないですから」


「その情報は?」


「それは企業秘密ですね! まぁ占いの結果です」


「それは一体どういうスキルなんですか? 此処迄適格な状況把握『鑑定』でも難しいし…まさかの隠しスキルですか?」


「さぁ…それも含んで秘密です」


この世界に『霊能力』という概念は無い。


無能だとは周りは思ってないらしい。


俺が『隠しスキル』か『レアスキル』を持っている。


そう考えている人間が多い。


冒険者ギルドは基本守秘義務があるから、知られることは本来ない。


その割に、あんな実践テストを大勢の前でするのだから『ざる』だけどな。


「他には何か聞きたい事は?」


「もう良いありがとう」


こんな感じだ。


◆◆◆


俺は周りを気にしながら『霊』を拾いに来ている。


基本的に人間に憑いている霊は手に入れにくい。


『無理やり』という方法もあるが、それはこちらもそれなりにリスクがある。


それじゃどういう時に手に入れやすいのか?


それは憑いた人間が死んだ時。


もしくは死に掛けの時。


霊が離れようとした瞬間に『霊話』して説得する。


ある意味『ナンパ』に近い。


この世界は女神に一神教だから、守護神を見つけることは出来ない。


何処かに勇者とか魔王の霊とか落ちていないだろうか?


良くない話だが、死に掛け、もしくは死にたての人間を探して俺は草原を彷徨っていた。







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