第11話 キズナが出来るのは青春の始まり

『僕らが保健室出身のワケ』11話

久郷くんと三崎くんは次の日の9月9日に放課後、ゲーセンで出会った。

三崎くんはゲーセンでUFOキャッチャーをしている久郷くんに声をかけた。

『久郷...くん?俺のこと覚えてる?昨日、プログラミングのことで話した三崎、三崎和馬なんだけど』

久郷くんは咄嗟に謝った。

『ごめん、これが取れるまで待っててくれる?』

すると、三崎くんはUFOキャッチャーに苦戦する久郷くんの手を取って、UFOキャッチャーを操り、久郷くんに言う。

『俺、こう言うの得意なんだ。小さい頃はさ、お小遣いの500円をどう化かしてご飯の足しにするか考えてて、そしたらUFOキャッチャーが上手くなった。俺の家、貧乏だからお金って俺にとって大事なんだよ。だから、UFOキャッチャーでお金をいっぱい失わないでほしい。お金をUFOキャッチャーじゃないものに使ってほしい。まあこれは俺のエゴなんだけどね。取れたよ、はい...これが欲しかったんでしょ』

そうして、久郷くんにうまい棒がいっぱい入ったものを渡して来た。

久郷くんは三崎くんにありがとうと深く礼を言った。

三崎くんは手招きして久郷くんを呼んだ。

『久郷くん、こっち来て!君に挨拶したい子たちが来ているから』

久郷くんは三崎くんに手招きされるまま近寄ると、三崎くん以外の子が久郷くんに近寄り、言ってきた。

『伊妻海斗です。なにか言いたいこととかは、特にありません。よろしくお願いします』

『真崎ゆなと言います。身長何センチですか?どこに住んでますか?質問攻めでごめんなさい』

『山井塩(やまいえん)でーす。よくエンをシオって間違われるので、名前呼びはどっちでもいいから。それと、久郷って確か保健室の常連の子やろ。山川連司からよく聞いてるよ。なんでわかるかって言ったら、蓮司と俺は親友だから。まあよろしくな。俺あんまりこの同好会に顔出せないと思うけど』

久郷くんは固まってしまった。

それは、こんな人たちと仲間になって大丈夫なのかという意味でのフリーズではなく、情報過多が原因だった。

そんな久郷くんに三崎くんは声をかける。

『大丈夫か?おーい。一応俺らは久郷を煮たり食ったりしないからそれだけは覚えておいて!それに俺、久郷と仲良くなりたいからミサンガ作ってきた。みんなお揃いのオレンジ色だぜ。ダサいかな。でも、記念日は大事にしたいんだ。先生にも許可もらって9月9日の今日が、プログラミング同好会の誕生会だぜ。これからよろしくな、久郷、伊妻、真崎、山井先輩』

久郷くんは三崎くんを見て言う。

『これ、僕にくれるの?』

三崎くんは笑顔で言う。

『当たり前だろ、俺らはこれからチームなんだからさ』

久郷くんはミサンガを着けて、着けたミサンガをちらちら見ていた。

それを三崎はどうしたのかと聞いた。

すると久郷くんは言った。

『だって、初めてこれをくれたから嬉しくて、保健室のみんなにも報告して良いかな?』

三崎くんはなんでもやれよと言った。

久郷くんは携帯を取り出して、保健室の常連である久郷くん、山川先輩、花岡さん、橋本さん、ダイゴくんの5人で出来たグループラインに貰ったミサンガの写真を撮り、『プログラミング同好会誕生会でもらったミサンガ』とラインをした。

話忘れていたが、橋本さんを中心に保健室の常連でできたライングループが存在している。

そのミサンガに対して、周りは『すげー』や『やること見つかって良かったな』と良いことばかり言ってくれたのだった。

その日はゲーセンでプログラミング同好会は馬鹿みたいに騒いだのだった。

その日を境に、ゲーセンに『あまり騒ぐのはやめて下さい』と張り紙が出たのであった。

次の話は5人で初めてゲームを作る話である。

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