慣れ

 この一緒に寝て充電ってさ、またサキュバ

 スがオレにキスすればいいんじゃね⁉︎

 

 

「なー、サキュバスさんよ」

「えっ?何?」

「オレにキスしてみなよ」

「は?何それー。人間ってそういう誘い方す

 るのー?」

 なんて言われた。

 

 …

 

「そうじゃなくてさ、オレにキスすればまた

 食事みたいに睡眠もしなくてよくなるんじ

 ゃないかと思ってさー」

「あー、なるほどー…じゃしてみますかっ」

「うん、やってみよう。」

 って事でいざ向かい合い…

 

 …

 

 ん?

 まだ⁇

 何?

 と思いサキュバスの方を見ると…

 

 えーっ、顔真っ赤じゃん。

 そんな照れられたらオレも恥ずかしいじゃ

 んか…

 

「おい、サキュバス…」

「あっ、ヒャいい、今します。」

「じゃ、ん」

 オレは目を閉じてじっと待った。

 

 チュ♡

 ゾワ〜ん♡

 

 で、

 どうなんだろ?

 

「とりあえず一時間だけ寝て充電されないよ

 うならやっぱり失敗ってことでハグして寝

 よっか。」

「ですね。じゃあ、とりあえずおやすみなさ

 ーい。」

 

 アラームをセットして一時間後

 

「どう?成功?」

「ううん。ダメみたい。」

「そっか。じゃおいで」

 オレは布団をめくりサキュバスを布団に招

 き入れた。

 

 

 そしてサキュバスをムギュ〜と抱きしめた。

 

 …オレって、当たり前のようにサキュバス

 抱きしめて寝てるけど改めて考えるとすげ

 〜ことだよな。

 

 …しかもサキュバス抱きしめるとムラムラ

 〜ってするんっすけど。

 

 さらにさっき一時間寝てしまったから全然

 眠れない。

 

 

 …

 

「ねー、ハヤトくん」

「んー?」

「さっき寝ちゃったから全然眠くないの。ハ

 ヤトくん眠い?」

「ううん。オレも眠くない」

「なら、おしゃべりしよ?」

「うん。いいよ」

 

 ということでサキュバスとおしゃべり開始。

 

「なぁ、睡眠の次って何が待ってるの?」

「あー、それがわたしも次はなんだか教えら

 れてないの」

「はぁ…大変だな」

「うん。でもさ、わたしハヤトくんに出会え

 てほんとによかった。幸せだよ、ありがと

 う」

「う、うん。ってか照れんだろー」

「あー、あははぁ」

 

 なんていいながらたわいもない会話をした。

 

 それから数ヶ月もオレたちは、抱きしめ合

 いながら寝た。

 

 もうそれが当たり前になっていた。

 慣れというものは恐ろしい。

 

 で、もうこのままでもいいんじゃね⁉︎

 ってなりつつあった。

 

 食事もできるし特に外で困ることは、ない。

 

 

 ただサキュバスは、一つ悩んでいることが

 あった。

 

 オレはそれに気づいてなかった。

 

 そのことに気づいたのは、かなり後のこと

 だった。

 

 

 オレたちは、卒業して就職した。

 

 サキュバスも人間の姿に見えるから問題な

 い。

 

 でも、問題ないと思っていたのはオレだけ

 だった。

 

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る