第31話 国作り、その9

 砂浜に近い森の中にナナリーナがコンクリート造の移転小屋を作り、周りにログハウスのような建物を50軒立ててから。


 砂浜と森の中間に塩田を作り終わると。


「此れで下準備は出来たわ。後は作業員を連れて来てからにするから帰りましょうか」




 城に帰ると、最近はトムの執務室は広いのでナナリーナも机を持ち込みそこで仕事をしている。


 仕事が一段落したころにジエルがお茶を入れに来て。


「ナナちゃんは頑張るわね、私が手伝える事は無いの?」


 最近は、ジエルはナナリーナの事をナナちゃんと愛称で呼び姉妹のように仲良くしている。


 「あのね、行政庁の建物を建てたから行政長官として皆の面倒を見てくれないかしら」


「私が行政長官ですか?無理じゃないかしら」


「大丈夫よ、仕事の仕方は職員に教えてあるから大事な決済はトム様に回して、風紀の乱れとか怠慢な職員がいないか監督するだけで良いから」


「それなら出来そうね、引き受けるわ」


 ジエルは以外にも人心掌握にたけていて、ナナリーナから行政を学び行政長官として国の発展に貢献し始めるのです。


 段々と国らしくなって久しぶりにダビデ街のギルドで魔石などを売りにいくことにして船に乗り込むと、ロックが。


「トム様お急ぎですか。急ぐなら風魔法で追い風にして速く進ませますが」


「えっ? そんな事も出来るようになったのか?」


「はい、僕は最近船に興味が出て冒険者を止めて船団を作りたいのですが、船を作れないので何とかなりませんか?」


 塩田の砂浜に港を作り漁業や海運業をするのも良いなと思ったトムは。


「そうだな、考えておくよ」


 ドラゴンのライザーは国の防衛はドガに任せておけば大丈夫だと言いトムの専属護衛としてどこにでも同行している。


 今日も同行者はいつものジエル、ナナリーナ、バース、ミンク、バンクにライザーだ。


 船をいつもの所に止めて隠蔽して街のギルドに行くと、ギルドマスターのボルドと受付嬢

マギーが歓迎してくれてマギーが。


「トム様久しぶりですね、今日はどんなご用件でしょうか?」


「魔石と珍しい魔獣や武器の素材になる魔獣を買い取って貰いに来た」


 ギルドマスターのボルドが喜んで個室に案内して。


「魔石を見せていただけませんか」


 マジックバックに入れて置いた魔石を出すとマギーが。


「凄い! 良質な魔石ばかりこんなに沢山、査定に時間が掛かりそう」


 トムが魔獣の死体を出すには狭すぎると言いい、裏の倉庫に連れて行かれて魔獣の死体を出すと倉庫にいた職員が初めて見る頭が蛇の魔獣とA級魔獣の多さに驚いていた。


 こちらも査定に時間が掛かると言われて時間を潰す為に、領主のバーバラに調査の時に見つけた宝石の原石を上げる為に尋ねる事にして街を歩いていると、武器を売っている店を見つけて覗いてみると。


 店の中には色んな武器が飾られていた。

奥から店主と思われるドワーフ族の髭を生やした男性が出て来て。


「トム様じゃねーか。以前は街を救ってくれてありがとう。おや、腰に差している剣は初めて見る剣だが」


「あぁー、此れか。此れは刀と言う剣で俺が創造の魔法で作った物だよ」


「見せて頂けませんか?」


「良いよ、この刀は砂鉄で作ったから普通の剣より切れるよ」


 店主が鞘から刀を抜き真剣な表情で見入り暫くして。


「裏庭で試し切りしても良いですか」


 トムが良いと言うと裏庭に行き店主が刀をトムに渡して。


「この丸太は普通の剣では切れない特殊な丸太ですが切って見てください」


 トムは普通に切ったのでは面白く無いので刀に少しの魔力を流して刀を鞘に入れて居合切で【エイ―!】と叫んで切ると見ていた皆には刀を抜いた所と鞘に入れた時しか見えなく刀の動きは見えなかった。


 丸太はそのままの形だったが、トムが指で押すと2つに割れて綺麗に切れていた。


 見ていた皆がどうして切れたのか分からず不思議そうな顔をしていたが、ドワーフの店主が。


「素晴らしい! わしには刀の動きが見えた。何という技だ! それに刀の切れ味も凄すぎる。砂鉄は知っているが、砂鉄で作った剣は切れ味が良いみたいだ」


 それから店主が自分は名前をギバラといい鍛冶師で是非、砂鉄を使って剣を作ってみたいと言い、トムも国に帰るときに一緒に連れて行き砂鉄の取れる場所に案内する約束をして領主の屋敷に行ったのです。


 突然の訪問だったが歓迎されて応接間に通され領主のバーバラが。


「久しぶりね、丁度よかったわ、ダビデ街の貧民街に住む人たちをあのままでは可哀そうなので、貴方の国に移住させてくれないかしら」


「良いのですが、この街の人口が減りますが良いのですか」


「本当は領主として私が何とかしないといけないのですが、ほら死霊に襲われて街が壊されて復興にお金が掛かり、資金不足で貧民街迄手が回らないのよ、此のままでは餓死する人も出るのでお願いできないかしら」


「分かりました。帰るときに連れて帰ります。俺からもお願いがあります。船を街から1時間くらいの河に止めているのですが、河の流れを変えて街の近くにしても良いですか」


「相変わらず規格外の事をするのね。その方が貴方の国と行き来が便利なるから良いわよ」


「ありがとうございます。あっ、そうだ、此れをお土産にあげます」


 トムが調査の時に見つけた宝石の原石を渡すとバーバラが奥から拡大鏡を出して原石を観察して。


「トムさん、此れは何処で見つけたの?この宝石は高価な宝石よ」


「えっ? 調査の途中の河の側にあった山の崖で拾いましたが」


「私は宝石や鉱山に詳しいのよ、帰るときに私も一緒に行ってその山を調べて上げるわ、もしかしたその山は宝石の鉱山かも知れないわ」


「本当ですか? ぜひお願いします。」


「任して、頂いた原石は加工すれば、白金貨50枚以上の価値はあるから、その分はトムさんの役に立ってあげるわね」


「ええー! それが白金貨50枚ですかー」


「そうよ、返さないわよ。ウッフフ」


 トムはお土産にあげた宝石の原石が前世の円にすると5億円と聞いてビックリしたのです。

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