第2話

 僕はいま馬車に乗っている。リアの家に向かうためだ。リアは、銀色のストレートヘアーが背中まで伸びた女の子だ。僕はまだあまり長いこと歩けないのでいつもリアが運んでくれる。早くリアを守れるようになるから待っててね。

 馬車には、氷狼のレンさんと、レンさんのパートナーでリアのお父さんが乗っている。魔物つかいの里を出たところの街でリアのお母さんと、リアのお友達とそのお父さんがいるらしい。魔物つかいの里はよそ者が入れない隠れ里だから仕方ないのだ。


「テン、着いたよ。」


 リアのお膝でうとうとし始めたころ、馬車は目的地に着いたようだった。

 門からは歩きらしい。ずっと運んでもらって申し訳ないな。

 街は中心に大きな建物がある街だ。高いところに大きな丸と長い棒とそれより短い棒がついている。


「時計塔っていうそうよ。」

 レンさんが教えてくれた。


 地面は全てレンガだ。ぼくの村の地面は土だったから新鮮だ。

 大きな道をまっすぐ歩いていくと、丸い形で真ん中から水を噴き出す池があった。

「噴水って言うのよ。」


 一つ人つレンさんが教えてくれる。

 通りにはいろんなものが並んでいる。その中に僕の体がすっぽりはいりそうな袋が売っていた。


「どうしたの?テン?」

 僕は首を振る。

「ん?あれならテンを持って移動するのも楽そうだね。おとうさーん!」

「どうしたんだ?リア?」

「あれ見て!テンを入れて運ぶのにちょうどいいと思うの。」

「あのウェストポーチかい?」

「うん。」

「いいね。買って帰ろうか。」

「うん!」


 カランコロン

「いらっしゃいませ」

「窓際に飾ってあるウェストポーチを見たいのですが。」

「はい、お持ちください。」


 店員さんがウェストポーチを取りに行く。黒くてシンプルなデザインだ。


「どうぞ。」


 さっそくリアが腰につけてみるが、ズルっと落ちてしまう。


「こちらの商品、斜めにつけるお客様もいらっしゃいますよ。」店員さんのアドバイス通りに斜めにつけた。


「ちょっとこの子入れてみてもいいですか?」

「はいどうぞ。」


 僕は、ウェストポーチに入ってみる。うんピッタリだ。


「うん、いいね。これください。このままつけて帰ってもいいですか?」

「はいどうぞ。お会計はこちらで行います。」


「テン。よかったね。テンにピッタリだね。」

「きゃん」


 僕たちはこれでいつでも一緒にいられるようになったのだ。


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