第10話  帰宅

「菜歩ってさー顔はいいけど…」

「けどって何よ?」

「女子力ないし、時間守れないよね。」

「グサッ」

図星すぎて心に刺さる。

けれど、ここはせめて否定したい。

「ちょっと、私がモテないって言いたいの?」

「アハハ、違うよ菜歩が変われればモテるってこと

 だよー」


知歩の帰りが遅いので私はうたた寝をしていた。

これは3月、終業式の日の友達のユキとの会話だ。

そんな前なのに夢に出てくるって私、

その言葉にどんだけに傷ついていたんだ。

ユキとクラス離れてすごく残念。

今のクラスは、仲が特別いい友達がいないから

やっぱり寂しい。

『ガチャ』

「ただいまです。」

知歩が帰ってきた。どんな話をしてきたのか

すごく気になる。

「おかえり。んで知歩、何か決まった?」

知歩が言い出すのが待ちきれなくて聞いた。

「もちろんです。明日デート行っちゃうです。」

「明日!で、どこいくの?」

「それは、言わないです。菜歩がついて来るに

 決まってるです。」

ドキッ

「ば、バレた。」

知歩は私の考えなどお見通しだった。

しかし、私には知歩のデートを見に行ける作戦が

ある。その名も––––

【早起きしてついていこう作戦‼︎】

早く寝れば早く起きられるはずだから今日は早く

寝て明日ついていってやる。そのためには、

宿題は日曜日にやる。シャワーも今浴びちゃおう。

ささくさと行動し始めた私を横目に知歩は

クローゼットの前で服を選び始めたのだった。

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