第5話  バ、バレる?!

『ガチャ』

ドアが開いて出てきたのは知歩だった。

「菜歩お帰りです。今日は遅いようです。」

ドキドキッッ

「う、うん。と、友達とさ〜は、話しててさ〜」

我ながらヘタな嘘だと思う。

なので、話を変えることにする。

「知歩は、ど、どうしたの?」

「どうしたもなにも新聞取りにきただけです。」

あっ、話が終わっちゃった。

「寒いし、中先入ってるね〜」

こうなったら逃げて、何か聞かれる前に友達に

聞くしかない。

「待つです。なんか怪しいからリビングで

 待っていろ、です。」

言われてしまったら仕方がない。

「はい・・・。」

すぐ戻るだろうし大人しく待つことにした。


すぐに戻ってきた知歩に今日の出来事を話した。

知歩は、静かに黙ってやや下を向いて聞いていた。

こっちに表情が分からないくらいに。

あー、絶対悲しんでる。だから、

会いたくなくて、伝えたくなかったのに。

すべてを話し終わって沈黙が流れた。

どうすればいいのか私には、分からない。

声をかけようとして口を開き、

なにも言えずにまた閉じる。何回か続いた。

先に口は開いたのは、

知歩の方だった。

「こうなったら、作戦を実行してやるです。

 菜歩、協力するです!」

「えっうん、協力はするよ。」

「どんなことでも協力すると誓うです?」

「ち、誓うよ。私、菜歩は知歩の作戦に協力する

 と誓います。って、昨日も言ったってば。」

知歩ってホント用心深いよね。

ってか私どんなこともするって誓っちゃった?

知歩のことだからどんなこともってヤバいかも

しれない。まぁ、可愛い妹の恋のためならいっか。

「でも、何をすればいいの?」

「秘密です。」

「えっ何か教えないと協力できないよ?」

「協力すると菜歩は誓ったです。

 明日教えるから待っとくです。」

「えーーっ‼︎」


こうして、知歩の作戦を知らぬまま

協力することになってしまったのだった。

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