チェッカーの戦い

夏蜜

vs.ポイントマスター

「いらっしゃいませ!」

 零時打子れじうつこはポイントマスターと遭遇した。一見穏和そうな老人は、早速財布からポイントカードを取り出す。

「今日はポイント五倍の日じゃね」

「そうでございますね」

 打子はカードを通す。レジかごの品数はそう多くない。お菓子やアイスクリームを数点レジに登録し、お会計画面に移る。

「千二十六円でございます」

「ワシのカードは、ちゃんと入ってるかね?」

 ポイントマスターはグラビティを使用した。

「……え、お通ししましたけど」

「よく見てなくてのお、もう一回通してくれんか? 今日はポイント五倍じゃからな」

 打子はHPが六十八減った。面倒くさいなと思いつつ、再度カードをレジに通す。ポイントマスターは気が済んだらしく、現金で支払いを始めた。一枚一枚小銭を出す動作が非常にゆったりだ。老人がスロウを使用しているからだ。

 ようやく出し終わり、打子は金銭をレジに投入する。そのとき、ポイントマスターの目がカッと開いた。

「ぬあに? 今日は電子マネーで支払いすると、さらに十倍だと!」

 ポイントマスターはレジ横に貼ってあるポップを確認したのだ。打子はやむなく金銭をレジから取り出し、老人に戻してやる。HPが百八十減った。

 老人は意気揚々と支払いを電子マネーで済ます。なら二度もポイントカードをレジに通す必要がなかったじゃん、とさらに二十ダメージ。只のポイントカードとしても電子マネーとしても使えるカードのマイナス面だ。

 レシートには勿論、全品にボーナスポイント付きだ。

「ありがとうよ」

「……はは、ありがとうございました」

 打子はポイントマスターをやっつけた。

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