第4話 眠りを妨げるモノ

 数年前のこと。


 その頃は、勘違いかもしれないものも含めると、週に三回以上は金縛りにっていた。


 ある晩、いつも通り灯りを消して布団の中に入ると、何やら頭が小刻みに揺れる感じがした。


 もしかして地震? と思い、起き上がるが、本棚も箪笥たんすも揺れてはいない。


 気のせいかと、布団に入る。……が、また頭が、どうやら頭だけが、揺れている感じだった。


 再び起き上がり、念のために部屋の中を見回すが、やはり何も揺れてはいない。


 不思議に思いながら、また布団に入ると、また枕が揺すられ、ザッザッと中身の蕎麦殻そばがらが鳴る音までよく聞こえた。


 眠かった私は、『やかましい!』とばかりに、枕を一発バァン! とぶっ叩き、また布団に入った。


 それからというもの、二度と同じ現象は起きなくなった。妖怪枕返しさん? とりあえず、意外と聞き分けの良い妖怪さんで良かった。


 

 そして、こちらも就寝時の話。


 なぜか背中がムズムズする。


 疲れていたので、気にしないで寝ようとしたが、寝返りを打ってもどうしても、背中のムズムズは治まらない。


 もしかして虫でもっているのだろうか? だとしたら気持ち悪い。


 私は起き上がって、布団の上を確認した。


 すると、そこには何やらスライムのような質感の真っ黒い物体が、大小ドロドロとたくさんうごめいていた。赤い豆電球だけの灯りだったが、それらははっきりと見えた。


 驚いて、慌てて灯りを点けると、そのドロドロ達は、まるで布団に染み込むように、ゆっくりと消えていった。


 何だったのだろう? びっくりしたけど、ゴキブリやゲジゲジではなかったので一安心。


 翌日、天気が良かったので、念のために布団を干した。



 

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