一日一首(令和三年二月)

神棚の誕生祝の赤飯を妻の思ひと噛みしむるなり


令和三年は立春が一日早く来てベランダの雪は既に消えたり


ありがたきナイチンゲール精神に支へられコロナ禍を乗り切らむと励む


〈最強の85歳〉とふビデオ見て舌禍のやまぬ森〈翁〉を憂ふ


〈最強の85歳〉とふビデオ見て舌禍のやまぬ森〈翁〉を恥づ


買ひ出しし四箱の金柑を背負へるに腹立たしかる春の雪道


はからずも性差別発言に見ゆる無定見なる〈アンコンシャス・バイアス〉


無駄表現「馬から落馬」のやうな愚を気づかずやらかす特に作歌で


同年者の看取りに書きし診断書の「脳梗塞後三年」や寂しき


「紀元節」を「建国記念の日」に替へて祝日にせしはいかなる思惑か


「の」を入れしは異論が出ぬやうとの配慮にて今日は「建国記念の日」なり


旧正月とてリクエストせし雑煮食べ元気に職場へ。金曜日の朝


長男の誕生日にと赤飯たく妻の後姿(うしろで)は母性そのもの


長男の誕生日に想ふ若き日の新米産科医の感奮興起を


妻からのバレンタインのチョコレート愛情ほどの甘さはなくて


携帯のアラームとともに揺れ続きかの大震災の恐怖が走る


東日本大震災後十年の激しき余震に恐怖よみがへる


東日本大震災後十年の余震と聞くも予兆ならずや


猛烈な吹雪の唸りと揺れのあればこれも余震かと恐怖がつのる


思へらく強き余震に新幹線の運休措置はコロナ禍にも適(かな)ふ


東京五輪組織委会長の騒動は五輪大臣の出戻りでちょん


こたびの大山鳴動もおさまれば五輪大臣の出戻り劇か


五七五七七の音(おん)そろへつつ詩情をいかに盛らむか苦心す


川柳とも俳句ともつかぬ上の句に適宜下の句をつけて短歌(うた)とす


ワクチンまた注射器さへも他国だのみ「Japan as No.1 」は過去の幻想


得意気に「二番じゃダメ?」とふ蓮舫の事業仕分けも今や恨めし


百二十六代目たる今上天皇の誕生日なれどコロナ禍にかすむ


敗戦で‘象徴’となられし天皇も今や三代目が務めておられる


おめでたき百寿の媼を祝ふとてコロナ禍の先の弥栄を祈る


いつの世も貧官汚吏の蠢きて霞が関に水澄む間なし


春近く鳥虫草木は蠢くも貧官汚吏に季節なきごと


一人前七万円とふ飯くひて〈別人格〉の僕(しもべ)になるとは


一人前七万円もの飯くひて広報官は何を語るや


一人前七万円もの飯くひて公僕の腹は痛まざりしか


いづれ来むパンデミックに備へせよ 国産ワクチン製品化急げ

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