第7話 まずい状況
キュッキュッ と何者かがこちらに近づいてくる音がする。そして、俺の横には赤い顔をして目を回している泡瀬。
もう、これ俺が泡瀬を襲ったようにしか見えなくないか? 当事者の俺ですらそう思ってしまうのだから、誰かに見られたら一発k.oだろう。
退学通り越して、少年院通り越して、警察通り越して、刑事裁判だろう。なんか、最早パニクりすぎて一切冷静な思考ができない。
でも、着実に音は近づいてきている。どうする? こんな時こそ冷静になれ、そうすればなんとかな______。
「おっかしいな、泡瀬今日は来てないのか?」
何者かがそう呟く。本格的に終わったことない? 向こうは泡瀬がここにいること知ってんだよ? だとしたら、ここを簡単に離れるとは思えな______。
「まあ、そう言う日もあるか。じゃあ、ちゃっちゃっと職員室に戻ってスプラィトゥン3の先行試写会の続きでもやるか」
足音が少しずつ遠ざかっていく。教師だったのだろうか? だとしたら、本当に見つからなくて良かった。まぁ、職員室でスプラィトゥンの先行試写会をやるのはどうかと思うけど。
まぁ、なにはともあれ良かった、良かっ___。
ガラガラガラ ガチャ。
えっ、今の音なに? 扉を閉めて出ていっただけだよね? ガチャ って何? 鍵なんて閉めてないよね?
俺は、泡瀬を壁にもたれかからせ安定させるとドアに向かっていく。そして、
「…南京錠がかけられている」
俺は、絶望しその場に崩れ去るのでした。
五分ほど絶望していると、目の前に手が差し出される。
「ほら、立って。とりあえず立ち上がって!
どうするか考えよう?」
「あ、泡瀬。意識が戻ったのか?」
「うん、私が目を回したのは忘れて」
まだ、復活したてなのか顔がほんのりと赤いが大丈夫なのだろうか? もしかしたら、熱でもあるのではないだろうか?
だとしたら、早く保健室に連れて行くべきなのだろうが…扉が開かないのではどうしようもない。
「それより、お前顔少し赤くないか? 熱でもあるんじゃ?」
「あ、赤くなんてないよ。それよりも、どう脱出するべき?」
「分かった。考えよう。でも、その前に1つ聞いていいか?」
「と、鳥田が私に聞いてくることがあろうとは…学年1位の座はいただきだね」
「一個質問するだけでそんなになるの!?」
「冗談だよ。冗談」
「まぁいいや。なんで助けてくれたんだ?」
俺が聞くと泡瀬は少し慌てて手をパタパタと動かす。急にどうした?
「き、昨日の借りを返しただけ。借りがあるのは気に入らないの!…まぁ、私も無意識のうちに助けてしまったのだけど」
「最後の方、ごにょごにょ言ってた分からなかったけど…借りを返したいとは泡瀬らしいな。ありがとう。それは、そうと俺が3階のこの辺を通るってこと分かってたのか?」
「まあ、鳥田くんの焦ってる時の脳内くらい
私にかかればちょちょいのちょい」
「それは喧嘩売ってんの?」
泡瀬は頭の回転が素早いからな。羨ましくもあるが多少はムカつくよね? うん。
「…学年2位様に喧嘩なんて売りませんよ」
「それは喧嘩売ってるよな?」
いつもより悪態をついてくるのがやや遅い気がしたが…昨日から本当にどうしたんだろう?
「にしてもどうしようか? 授業遅れちゃうねこれ?」
「俺としては、そんなことより泡瀬の体調が心配なんだが?」
普段なら、ここで「鳥田と密室なんて最悪だけど」を付け足してくるはずなんだが…本当に熱でもひいてないよな?
「っっ!!//」
あれ? また、顔が更に赤くなったんだけど!?
「お、おい、本当に大丈夫か? 熱でもひいてるなら安静にしてないと」
「だ、だ、だ、大丈夫だから。これ以上近寄ってこないで」
目まで回ってきてるんだけど!? これ、本格的に大丈夫じゃないだろ?
そんなことをしていると突如としてガチャという音が聞こえた。
「てっちゃんの気配がしたので、鍵をもらって見に来ました」
扉の前で俺と顔を赤くして体調が悪そうな泡瀬の前で声の後、扉が開き目の前に現れたのは…俺の幼馴染こと、澪だった。
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澪ちゃん、乱入!! 次回はどうなることやら。
それはそうと作者はスプラトゥーンの先行試写会がしたかったのですが容量の都合でできませんでした。先生が羨ましいです。
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