第2話 『プロポーズされてません♡』

2☑


杏 side:


 遠藤さんからはお茶にさえ一度も誘われたことはないし。 

 私は悪夢を見ているような気持ちになった。


 私にこんな言葉を投げかけてきた目の前の人とは、半年前の

あることがきっかけで今まで親しくしてきているからだ。


 現に今日だって会っている。


 決まってはないけれど、お互い早く帰れそうな日はカフェに立ち寄り

たくさん話をして帰る。


 最近の私の楽しみは彼とお茶をして帰ることになっていた。


 彼とは波長が合うし、くだらない内容でも楽しい。


  身の丈に合う? っていうのかな、気負わずにいられて、それでいて

少しときめきもあって。


 いや、今は少し・・じゃなくて、ときめきはかなり大きくなっている。

 あまり係わりのなかった頃は、まったく何にも感じなかったのに。


 今まで一度だってこんなことを言われたことはなかったのに

何故今日に限って、彼がこんなことを言ってきたのか? 


 さっぱりわからなくて私は途方に暮れた。


       ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 いくら考えてみても遠藤さんとの接点といえば、日曜が

バレンタインデーで翌月曜日に他の男子社員のも併せて、義チョコを

あげたことくらい。


 営業でほとんど男子社員は出払っていたので、彼らの内の1人の机の

上にメモを付けてまとめて置いて帰ったんたんだけど。


 彼にあげた義チョコ・・が原因だなんてまさかね。


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