第3話 呪いの剣?


「はぁ……、ホントこれどうすっかなぁ」

「んぅ?」

「この剣だよ……。なんでくっついてんのか知らねぇけど、捨てたくても捨てられねぇし……。呪われてんじゃねぇか?」


 ルークがかつて見たことのある呪いの剣。

 あの時も仲間が剣を手放すことが出来ず、暴走のまま数人の仲間を道連れに死んでいった。

 この剣からはあの時ほどのイヤな感じはしていない。だが、あの時も時間が経ってから暴走していたので気軽に安心することができない。

 今は近くにレオナがいるという事もあり、ルークはそんな最悪の事態は避けなければと頭を悩ませていた。


 すると、レオナがルークから少し離れて剣を指さす。


「さわってもいい?」

「ん?あ、ああ。でも、変な感じがしたらすぐに手を放せよ」

「ん」


 レオナが手を伸ばす。

 刀身の腹に手を当てるも何も起こらない。

 ぺちぺちと叩いているが、レオナに危害が加わるようなことは無かった。


「ひっぱってみていい?」

「ああ。あ、でもゆっくりとな。お前の力で一気に引っ張ったらオレの体がそこの下水に放り出される」

「ん」


 レオナが刀身の腹を両手で挟み、ゆっくりと剣を引っ張る。

 徐々に力を加え、レオナは本気で引っ張ったが、ルークの手から剣が離れることは無かった。その上、彼の腕・体には僅かほどの負担もかからなかった。

 これにはルークも目を剥く。


「は?これ……マジでなんなんだ?」

「まじでなんだ?」


 レオナも引っ張るのをやめて首を傾げる。

 ルークに迷惑をかけているという点では呪いの剣だ。

 でも、グリップの先から刀身の先まで全てが蒼銀色であり、その装飾の豪華さから言っても呪いの剣とは思えない風格がある。

 更にはロングソードよりも幅が大きいというのにほとんど重さを感じない。その事からも実用的な剣でないことは明白だった。

 だからと言って、この剣を形容する言葉などルークの中には無い。


そんな時、追いかけてきていた兵士の言葉が頭の中に蘇った。


「国の……宝?んで、剣……。宝剣……?」


 徐々に頭の回転が速くなり、ルークの記憶から関連する言葉が引き出されていく。

 そして、一つの答えに辿り着いた。


「まさか……聖剣リインフォース?」

「ぅん?」


 それは本物であれば文字通り国宝級のシロモノだった。

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