笑える地の文で読ませる「サ終系お仕事ラブコメディ」

 サ終ゲーム。なかには一世を風靡し、長い年月を経て多くのファンに惜しまれるものもありますが、多くは話題にもならず、ごく少数のコアユーザーをのぞいてひっそりと店を畳むイメージがあります。

 主人公の浬(かいり)くんは、そんなサ終とは程遠い「DIVINE」というゲーム……ではなく、タイトルの通り、「DIVINE」と同じ会社のサ終寸前ゲーム「アスクロ」のプロデューサー兼プランナーです。

 ある日、主人公も一応同席していた中途採用の面接に「勇者」が現れます。安心してください。異世界からやってきた勇者が、面接官に化けた魔王を討伐……期待してたお仕事ラブコメディどこいった?ということにはなりません。

 ただのコスプレです。面接にコスプレしてきたやべーヒロイン、天宮さんです。(しかも他社ゲームのコスプレらしい)

 そんな天宮さんはあろうことかサ終「アスクロ」の熱狂的ファン。その好きっぷりは主人公から「魅入られたやつの目をしている」と判断されるほど。

 そして配属されるサ終部屋。現在7話まで読んで書いてますが、サ終部屋のメンバーも個性的。

 文体も読みやすく、続きが気になります。

 この作品の魅力を1つあげるなら、主人公のゲーム脳な地の文です。

 ラブコメディには欠かせないヒロインの容姿描写に注目してほしいです。ゲーム要素がちりばめられたその描写は、主人公がおおよそどういう人間かわかります。第1話では面接の様子もゲームを通して描写されます。案外主人公が一番やべーやつなのかもしれません。