リナナにできること
「ちょっと待て。」
仮面の
「その前にこっちに来い。
サクノミはリナナを
「私、仮面をつけたままでいいの?」
「お前はこれを
「あ……うん。」
「頭、あんまり動かすなよ。」
サクノミの真剣な顔をこんな
ドラゴフォートレスがサクノミに聞く。
「お前もどうだ、サクノミ。
「……いかねーよ。」
やがてサクノミはリナナの仮面の左半分を金色の花の
「ありがとう、サクノミ。」
「また面倒を起こされたくないだけだ。」
それだけ言うとサクノミは再び
館の外ではドラゴフォートレスが
「リナナ。
「うん、ドラゴフォートレスさん。」
ドラゴフォートレスはリナナを乗せて空に
ドラゴフォートレスは
だがドラゴフォートレスは、そんな人族の友人たちが見せる
「サクノミのことだがな。」
「なあに?」
「
「わかってる。サクノミ、
ドラゴフォートレスは、リナナのその
◇
仮面の都ロキに
ドラゴフォートレスはリナナを
都の様子を
「私、買い物もしたことないの。
「どれ、何か買ってみるか。これを
ドラゴフォートレスは、金色に
「これがお金……。」
「
「私、もらってしまってもいいの?」
「もうこれはリナナのものだ。我れが
「譲渡?」
「魔法金貨の
「じゃあ、所有者じゃなかったら?」
「魔法金貨は自身の所有者を
「不正な手段って?」
「たとえば、
「へえ……。なんかすごい……。」
リナナは魔法金貨を
お花を売っている
リナナは様々な野菜を広げている老人の
「これいくらですか?」
「五十だね。」
その声で、老人がおばあさんであることがリナナにもわかった。
「ドラゴフォートレスさん、これで買えるかな? サクノミにトマトのスープを作ってあげたいの。」
「買えるさ。」
ドラゴフォートレスがリナナに渡した魔法金貨一枚で二千の価値だった。
リナナはトマトを四つ、
「ありがとう。」
「リナナ、あの老人の仮面をよく見たか?」
「うん。他のお店の人と同じ印があった。」
「そうだ、あれが
「うん。」
リナナとドラゴフォートレスはそれからいくつかの店を見て回ったが、リナナが働けそうな店はなかなか見つからなかった。
リナナは読み書きも計算も孤児院で
落ち込むリナナにドラゴフォートレスが言った。
「そうだ、リナナよ。海の魚は好きか? センドダリアは
「海の魚……、食べたことない。」
「はっはっはっ、それはもったいないぞ。食べに行こう、リナナ。」
「……うん。」
ところが、ドラゴフォートレスが案内した魚料理の店は閉まっていた。
「なんと、休みか……。すまない、リナナ。」
「ううん。ドラゴフォートレスさん、また連れてきて。」
「ああ。そうだな。今日はこの辺にして帰るか。」
「うん。夕飯は私作るね。」
リナナは野菜の入った袋をドラゴフォートレスに見せて笑顔を作った。
もう日は
今日のところは仮面の館に帰り、夕飯はまたリナナにご
都の外、空を飛ぶドラゴフォートレスたちの
「あれは魔物レッドウルフか。
「あ、ドラゴフォートレスさん、あれ見て!」
リナナがレッドウルフの先を
「むっ。あの馬車、
「ドラゴフォートレスさん! 助けに行こう!」
「おう!」
ドラゴフォートレスは竜族の戦士である。もとより助けにいくつもりであったが、ドラゴフォートレスが言うより先に、
ドラゴフォートレスは馬車とレッドウルフの群れめがけて急降下する。
魔物は人を襲う。だがその存在には不明な点が多い。
ドラゴフォートレスはリナナを安全な場所に降ろすと、その口から
馬車を襲っていたレッドウルフたちはあっという間に消え去り、残りは逃げていった。
ドラゴフォートレスとリナナは馬車に近づいて
「大丈夫か? おや、魚料理屋の店主ではないか。」
馬車の中には
「あ、竜族の
「いかん、これはロキの呪いか。」
店主の女性に抱えられた少女は赤い顔で
少女は持っていた金魚の仮面をつけ直したが、仮面に呪いを防ぐ効果はあっても出てしまった呪いの症状を
「子供は呪いの進行が速い。このままでは……。」
「ルビー!」
悲痛な表情のドラゴフォートレス。
店主の女性が少女の名前を呼ぶ。
「ドラゴフォートレスさん! なんとかならないんですか?」
「ううむ。呪いは我れの力では……。」
「サクノミは!?」
「いや、魔術では無理なのだ。聖女の
「神聖術……?」
リナナは、自分の持つ神様の
「もしかして、私なら……!」
リナナは、苦しむ少女の
リナナの手の
「こ、これは……。」
「良かった。神様の癒やしの力で治りそう。」
「ありがとうございます! なんとお礼を言ったらいいのか。」
店主の女性は泣いて二人にお礼を言った。
抱き合って喜ぶ店主の女性と少女の様子をみて微笑むリナナを、ドラゴフォートレスは信じられないものを見たというように
リナナとドラゴフォートレスは馬車を安全なところまで見送ると、店主の女性……サファイアにまた魚料理を食べに行く約束をして
「遅くなっちゃったね。サクノミ待っていてくれるかな?」
「ああ、そうだな……。」
「お仕事、もしかしたらサファイアさんのお店で働かせてもらえるかもって。」
「ああ、よかったな……。」
ドラゴフォートレスは、らしくもなくリナナに
夕飯を
「お前、とんでもないものを拾ったな。なぜ
「……そうとも限らないだろ。」
サクノミはドラゴフォートレスを見ずに答える。
「人族で魔力を持つものは限られておる。その多くは王族の血筋……、多種族との混血。もしくは魔物と交わりし魔女だ。もちろん神聖術を使える種族もおるが、聖女の力はノートラスが
「俺には関係ない。」
相変わらずぶっきら棒に言うサクノミに、ドラゴフォートレスは言う。
「関係ないことがあるか。お前は……センドダリア国王の弟なのだぞ。」
「いいや、今の俺は魔術師サクノミだ。あいつだってここにいればただの娘だろう。」
サクノミが見つめる先、それは星空。ただし、その方向にはセンドダリアの
「そうか、サクノミ。……お前の考えはわかった。だがな、いつか必ずそれに向き合う時が来るぞ。」
「……。」
サクノミは
ああ、小さき我が友人たちよ。その短い生でなぜ困難に立ち向かわなければならないのか。ドラゴフォートレスは、二人の行く末を見届けることを
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