第11話 大風の夜に

二人きり


もしも世界の終わりが来て

私達がこの世の果てに辿り着いても


この両腕で

貴女を優しく包み

やっと二人きりになれた事を

私は祝福してしまうだろう


億を遥かに越える人々の雑踏の中

貴女一人に出会うことが

どんなに困難な事であっただったろうか

それは奇跡なのか必然だったのか


既に何も見えなくなっているのに

貴女以外の何が必要というのであろう


この世の果ての崖の上で

強い風に吹かれても

恐れることはない


私は貴女をきつく抱きしめて

風に靡く髪に口づけをした後

貴女は安心した顔で私を見つめるに違いない


強い心で強い愛で

包まれている事を知るから

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