10話~王雅の一面

「!!美味しい!!」

「よかった〜!さすが俺!」

「弥禄。席外せ」

「うわ〜王雅様嫉妬ですか〜?」

「うるせぇ!」

弥禄殿が作る料理はどれも美味しかった。こんな賑やかな食事は久々だった。

この食事初めて食べたはずなのになぜか懐かしい……。

「茶々。」

「はい!どうしましたか?」

王雅様は私を優しい目で見つめた。

「今日は城下町に出る。巳の刻には準備ができてるようにしとけ。」

「わ、分かりました……。」

たしかに私はこの国のことをよく知らない。だからこうやって誘ってもらえるのはありがたいかも。

「魁都。」

「お呼びでしょうか。」

「茶々と出かけるから茶々に支度させてくれ。」

「かしこまりました。いきますよ。」

「きゃあ!」

いきなり沖田殿にお姫様抱っこされ私は思わず声をあげてしまった。

「おい、魁都。茶々に勝ってに触れるんじゃない。」

「いやーでーす。じゃ茶々殿いっくよー!」

沖田殿はものすごく足が早かった。

まるで風なんじゃないかっていうくらい早かった。しばらくすると城の上の階に着いた。

「ここから好きな着物をお選び下さい!」

「へっ!?」

そこには着物が無数にあった。それにものすごく高そう……。

私はとりあえず着物を見た。

どれも高級すぎて手が出せないよ……。

色々と見て回ると私はある絵柄の着物に目を奪われた。

「綺麗……。」

その着物には桜の花びらが川に落ち流れていて、その周りには蝶が舞っている絵柄だった。

「気に入りましたか?」

「はい……。」

「ならこれにしましょう!ちなみにここにある着物は全て雄星が作ったんですよ。」

「え!?」

「ちなみに雄星の作った着物は鬼の国の着物屋では有名なんですよ。」

「す、すごいですね……。」

「あれ〜?僕のこと呼んだ〜?」

「遅いよ〜雄星。」

「今回着付けを担当させていただきます。」

と織田殿が笑顔でそう言った。

「僕は化粧するからね!」

と沖田殿はどこから出してきたのかわからないほどたくさんの化粧道具をだした。



数分後……。

「自信作だ!!」

「す、すごい……!!」

鏡に写る自分は今までとは比べ物にならないくらい別人で綺麗だった。

「茶々?」

「王雅様。お待たせ致しました。」

王雅様は私を見るとなにも言わなかった。

似合ってなかったのかな……?

と横から弥禄殿が

「王雅様はね、うれしいと耳がお猿みたいに動くんだ。ほら今も」

よく見ると王雅様の耳がたしかに動いてた。

それに

「耳真っ赤……」

「見るな!」

「す、すみません。」

「アハハ!王雅様が照れてる〜」

「おい、魁都。今ここでお前ぶった斬ってやろうか?」

「ほら〜魁都。王雅様怒らせちゃダメでしょ〜」

織田殿と沖田殿も現れ王雅様へのからかいが始まった。

城中に笑いが広がったのはいうまでもなかった。






「だいぶ待たせたな。行くぞ。」

「はい!」

私と王雅様と剣豪は城を出て町に向かった。城から町までそう時間はかからないらしい。

ちなみにあのあと沖田殿は王雅様にたんこぶをつくられ少し泣いていた。

「では参りましょう。」

と北畠殿が言った。ちなみに外に出るときは剣豪の護衛必須だと王雅様が言った。

「茶々殿は今年でいくつになるの?」

としゅうくんが言った。

「私は今年で16になります。」

「貰い手いるの?」

「えっと……」

「俺だ。」

「王雅様!?」

「だから違います!!」

他にも剣豪皆さんから質問された。

だけどその度に王雅様がすべて答えてしまった。でも質問の答えはすべてなぜか合っていた。

「好きな食べ物は?」

としゅうくんが答えると王雅様は

「団子。」

正解だ……

「嫌いな食べ物は?」

と沖田殿に聞かれ王雅様は

「生姜。」

せ、正解だ……

「好きな色は?」

と織田殿が言い王雅様は

「淡い桃色。」

合ってる……!

「やっていた趣味は?」

「お菓子作り」

山和殿の質問にも正解だ。

「好きな人の理想はなんです!?」

「好きな花は?」

「好きな飲み物は?」

北畠殿、源殿、神楽殿に聞かれ王雅様は

「優しくて紳士だけど少し強引。」

「金木犀。」

「玄米茶。」

全部正解だった。王雅様に自分のことなんか教えたことないのに。

「な?俺たち結婚しても良さそうだろう?」




「もー!!ちがーう!!」

「あはははは!」








私の大声と王雅様の笑い声に町の人たちはつられてともに笑っていた。



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