海猫さんがゆく

星埜銀杏

第1章 海猫さん 

第1話 序破急の女

 海猫さんは、少女漫画家を目指す、うら若き乙女。


 どうにも、うら若きと書くと美少女を思い浮かべがちですが、当の海猫さんは、どちらかと言うと武将女でしょうか。まあ、さすがに無精髭は生えてしませんが、雰囲気というかオーラというか、そういったものが、いっぱしの武将さんなんですよ。


 海野六郎さん。はい。マニアックですね。すまぬ。


 そんな海猫さんを端で見ていて面白いと思ったので、ちょっとだけ彼女の紹介エッセイでも書ければなと思い筆を持ちました。無論、海猫さんは実在の人物です。この広い世界のどこかに実在する謎の武将女です。年齢と体重は秘密ですがね。


 とにかく、お目々キラキラ系の漫画を今日も今日とて描き描き……。


「ワシは少女漫画で一山当てるんじゃ、コラッ!?」


 マガジンマークと井の字を額に浮かべてモリモリな筋肉をピクピク。


 必死で少女漫画家を目指して頑張っておりますよ。


 そそ。海猫さん、この前、少年サンティ編集部へと持ち込みにいったらしいです。


 本当はジャンピンに行きたかったらしいのですが、


 如何せん、海猫さん、ヘタレで怖がってしまったようです。というか少女漫画家を目指しているのにサンティやジャンピンに持ち込んで、どうするんでしょうね。行くならリホン編集部かナカヨクなんじゃないのでしょうか。よくは分かりませんが。


 まあ、海猫さんらしいと言えばらしいのですがね。


 ともかく少年サンティ編集部への持ち込みは散々だったようですよ。


 まずキャラクターが立っていない。次に話がバラバラで意味が分からない。ギャグも笑えないと良いとこなし。まあ、当然の事ながら海猫さんの技術というか、漫画のレベルが恐ろしく低いので仕方がないのですが、少しだけ可哀想くなりました。


 てかッ!


 可哀想がってる小生のこれも、まあ、アレでソレなんですがソレは黙殺だぞっと。


 とにかく海猫さんは押し寄せる涙の波動を目の端ギリギリで押さえ込み笑って持ち込みを終えたようです。頑張る女の子。それこそが海猫さんの真価です。なんて言っていますが、ぶっちゃけ頑張れば頑張るほど滑稽になるのが、海猫さんなんですが。


 まあ、だからこそ真価なのだとも言えますが……。


 兎に角、


「負けるもんか。いつかきっと。負けんよ。絶対に」


 と……。


 そして、


 海猫さん、今日も地道に頑張っています。お目々キラキラ系を筋肉ピクピクさせ。


 無論、武将女全開で。


 というか、当の本人、海猫さんを主人公にして漫画でも描けばとも思うのですが。


 武将女なんて、いいのネタじゃないですか。それこそ話にしないともったいない。


 あ、それは、これか。


 では、また機会があれば海猫さんの現状報告でもしますね。チャオ。

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