それは本当に貴方の知ってる人ですか?

このレビューを読んでる人の中には、もしかしたら小さい頃に「誰もいなくても、帰宅したら「ただいま」と言いましょう」と先生や親に言われた人がいるかもしれません。私もそうです。
これは「私以外にも誰かいるんだよ!」ということを周囲に知らせるためで、不審者が周りをウロついている時なんかに牽制する目的があります。

でも、その呼びかけてる相手がもしもこの世にいなかったら──?

生きてる人の未練、あるいは後悔。
それらはもしかしたら、死者よりもずっと強い力を持っているのかもしれません。もちろん、それは死者とて同じことですが。
この話は、そんな「何か」をずっと引きずって生きる人達がおり重ね、呼びかけていく物語です。
最初にあるのは小さな違和感。
そして、段々とその違和感がはっきりとした恐怖へと姿を変えていく様は見事の一言。先が知りたくて、つい次へ次へと進んでしまいます。

シリーズものの一編のようですが、この話単体だけでも読めるのも嬉しいところ。
ホラー好きな方には是非とも読んでほしい作品です。

その他のおすすめレビュー

透峰 零さんの他のおすすめレビュー237