不幸すぎる

黙って見つめるしか出来なくて、涙が流れてくる。

吐きそうになりながら、娘は男のものを必死に…。ゾッとする光景。でも、それを屁とも思わない人間なのか…。旦那であるこいつも、私自身も…。


千秋との生活に戻りたい。こんな生活を望んでなかった。何なのこの生活は…。


この家族は、普通じゃない。でも、私は何もしらなかった。こんな家族がいるのを知らなかった。子供がいれさえすれば完璧だと思っていた。


でも、実際は違う。

子供がいても、お金がなければ不幸なのだ。


「葵、後20分だから」


「うん」


旦那は、スマホでゲームをしているようだ。


「生活保護は?」


「無理だったろ?行ったじゃねーか」


吐き捨てるように言われた。


無理だからとこの子にこんな事をさせたお金で、一生生活するのか?


「一緒に働いたら何とか」


「なるわけねーだろ!俺は、学がないんだ!だから、体使って仕事してたのにお前の親父のせいだろ」


そう言って、怒られる。

そうだ!千秋に会いに行って、千秋にお金を借りよう。嫌、私が昔働いて貯めた別口座の貯金がある。それを持ってきて、崩しながら生活すれば…。暫くは、いけるんじゃないの?

でも、千秋と住んでいた家が思い出せない。


どこだっけ?緑色の屋根なのは、覚えてる。


でも、そもそも私は何でこの人と代わったの?


「時間だから行くぞ」


そう言われて、車を降りた。トボトボと後ろをついていく。アパートに戻ってきて、ドアを開けた。


「雪那ちゃん、またね」


「うん」


そう言ったおじさんに、旦那が鍵を渡した。そして、おじさんはいなくなった。


「ママ、頑張ったよ」


私にギュッーと抱きついてくる。


「待ってね」


恭介君をベッドに寝かせた!


「うがいしようか?」


「うん」


唇の端に、それがついている。私は、雪那ちゃんの口を何度もゆすがせる。


「気持ち悪くない?」


「ママ、もう6か月やってるんだよ!初めてだね。そんな事言ったの」


半年も続けてるの?!ゾッとして倒れそうになった。


「ごめんね!ママが必ず何とかするから」


「うん、わかった」


千秋に会いに行って、パパ活とやらをすればいいのではないか?千秋は、ボーナスがあったからそれをもらえばいいのではないだろうか?援助してもらおう!私は、磯部葵だと信じてくれるだろうか?嫌、いっその事!千秋と不倫をしてお金を引っ張る方が早いのではないだろうか?


兎に角、千秋の場所を探そう!思い出して、お金を引っ張るのだ。そして、どうにか私の貯金を取りに行こう。それで、その間に保育所を探して働いて!

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