重なりあうBLUEー全部あなたにあげるからー

三愛紫月

プロローグ

始まり

「何で、こんな人生なの…。何で、こんな人生なの…」


「どうして私だけ、どうして私だけ、手にする事が叶わないの…」


肩が、ぶつかった。


「えっ?」


「いや」


ゴロゴロと土手を転がる私と知らない誰か………。


ゴンッ……。


死ぬの?こんな人生で?


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ピピピ、ピピピピ…


「葵、何してんの?朝だから!目覚まし、何回鳴らした?」


誰………?


確かに、私の名前を呼ぶけれど誰か知らない男の人が私を見つめていた。もしかして、天国?


「何、ボッーとしてんの?起きないの?」


「えっ、うん」


「顔洗いなよ!ほら」


そう言われて、起こされて洗面所までやってきた。


鏡を見つめて驚いた!!


誰?この綺麗な人。 


.

.

.

.

.

.

.

.


ピピピ、ピピピ


「ワアーン」


「うっさいな!いい加減、黙らせろよ、葵」


騒音にまみれた朝を向かえていた。

私は、目覚ましを止める。


「葵!今日、雪那せつなとやりたい奴来るからよ!10万もらってるからな」


ニタニタと笑う気色悪い男がいる。


「どういう事?」


「はあ?頭大丈夫か?お前も5歳からやらされてただろ?同じ事したらいいって言ったじゃねーかよ!」


「アアー」


「おい、葵。恭介、黙らせろよ!無理なら殺すぞ」


「痛い、やめてよ」


髪を引っ張られる。


「だったら、黙らせろよ」


「わかった、わかったわ!」


確かに、子供が欲しいと願ったけれど…。この地獄のような場所は一体なんなの?


「大丈夫だよ」


「ワアーン、アーン」


生後半年の男の子をあやした。どうやら、母乳がでるようだ。私は、洗面所の鏡を見つめる。


誰?この人……。


可愛らしい顔をしているのに、酷くくたびれている。

ボロボロのアパートに、二人の子供と暴力を振るう男がいる。これは、何?どうなってるの?


「ママー」


「どうしたの?」


「雪那、したくない」


「何の話?」


「男の人のあそこを食べるお仕事するの、もう嫌なの」


「何、それ?」


「ママも昔やってたんでしょ?でも、気持ち悪くて怖いの。だから、したくない」


この女とあの男は、何をやらしていたのだ。


「わかった!しなくていいよ」


「葵、そんな事言ってるとコジキになるぞ」


「どういう事?」


「雪那が働いてくれてるから、生活出来てるんだよ!ちゃんとそれわかってる?無理なら、葵が働けよ!俺は、お前のせいでこんな足になったんだからよ」


そう言って、男は右足を引きずりながら出て行った。


「ごめんなさい、雪那。ママ、何とかするから!だから、少しだけ我慢して」


「ママ」


私を探さなくちゃ!私を…。そうしなくちゃ…。

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