第4話 チュートリアル

 なんだかんだでゲーム開始ギリギリまで掛かったが全ての設定が終わった。後はゲーム開始までの数分を待つだけだ。


「あ、そうだ皆にもこのゲームの事教えておこう。リンクを送信っと」


 昔から仲が良いゲームのグループチャットにリンクを張っておく、何人かやってくれれば楽しくやれそうなんだが。時間も遅いし、チャットの返事を待たずにゲームを始める事にしよう。


「これでOK、早速ゲームスタート!」


 カウントダウンが0になると同時にゲームスタートのボタンをクリックする。


「おー始まった!まずはチュートリアルからだ」


『ようこそ「GODGAMEofTHEEARTH」の世界へ』


 ゲームが始まり何もない、グラウンドのような場所に作成したキャラクターが表示された。画面上にはいくつかのUIも表示されている。


『まずはステータスを確認しましょう』


「お、これか」


 指示にしたがって点滅している自分の名前をクリックする。


名前:モリオン

種族:ヴァンパイア

位階:1 (0/10)

称号:なし

固有スキル:なし

種族スキル:夜目 牙 爪 吸血 日光ダメージ 

能力値

体力:10/10

知力:10/10 


「なるほど、これがキャラクターのステータスって事か」


『次に戦闘訓練を行います。敵を倒して下さい』


画面上にうさぎが現れた。相手をクリックして選択し、攻撃コマンドで戦うらしい。スマホでよくあるアクションRPGに近い戦闘方法のようだ。


「流石に最初はパンチだけか」


 画面上ではキャラが爪攻撃でうさぎをK.Oしている。ドロップアイテムは自動的にストレージに入ってくるようだ。


『次は採取訓練です。指定された素材を集めて下さい』


 うさぎの死体がポリゴンのように消えてその場に木が生えた。根元には草が生えている。クリックすると『薬草』『木材』と表示されている。画面上のUIが光っているのでその指示にしたがってクリックしていく。


「なるほどね、古き良きRPGって感じだな。こういうのはシンプルでいいんだよな」


 色々と凝ったゲームもあったが、こういうのはシンプルなのがいい。複雑にしすぎると疲れてしまって長続きしないからな。


『では製作訓練へと移ります。手に入れた『木材』で『木剣』を作りましょう』


 これも光るUIに沿って進めていく。画面上のキャラが木を削って剣を作っている。その後も指示に従って操作方法のチュートリアルを進めて行く。戦闘はあまりやるつもりがないのである程度は流してしまった。


『以上で操作方法のチュートリアルを終了します、お疲れさまでした』


『次に領地運営のチュートリアルを始めます』


「お、待ってました!」

 

 俺としてはここが一番重要なのでより気合が入る。UIが見えているのである程度予測はつくのだが様式美というやつだろう。


『住居を作成し、住民を配置してください』


 『領地』コマンドを実行し、『住居』という項目をクリックする。最初に配置出来るのは『木の家』だけだ。木の家は初期設定住人の数が『1』となっている。


「うげ、住人はゾンビなのか」

 

 どうやらヴァンパイアが設置できる基礎住人は『ゾンビ』らしい。この辺りは事前登録でも分からなかった部分なのでしょうがない。


『農地を開拓し、作業に従事させましょう』


 『農地』をクリックして、『ゾンビ』をドラッグする。そうすると画面上ではゾンビが畑を耕しはじめた。


『軍を組織し、外敵から身を守りましょう』


 『木の家』を増やし、『ゾンビ』を『防衛』に配置する。先ほど作った『木剣』を装備したゾンビが徘徊し始めた。ゲーム画面で見るとゾンビも以外と可愛いのかもしれない、と少し可笑しくなってしまった。


「なるほどね。結構シンプルだけど、工程は多そうだな」


 1つ1つの操作は難しくないが採取からスタートしなければいけないので街を発展させるには時間が掛かりそうだ。


『ショップを利用しましょう』


 領地運営のチュートリアルが終わると、次のステップに進む。


「課金要素がないのにショップがあるのか?」


『様々な行動によって得られるゲーム内通貨『GP』を使ってゲーム内アイテムを売買する事が出来ます』


 どうやら他のプレイヤーを倒した時などに『GP』という通貨を手に入れる事が出来るらしい。入手手段はいくつか用意されているようだ。


「チュートリアル用ポーションしか買えないじゃん!」


 ポーションしか買えなかったけど使い方はなんとなくわかった。ここでしか買えないアイテムもあるらしいので楽しみだ。


『以上でチュートリアルを終了します』


『準備期間に移行しますか?』


「どういう事だ?ここまで来たのにしないっていう選択肢はないだろう。移行します、っと」


 




 

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