第6話 屋上の開け方

「おいおい、どうゆう事だよ?」

「あ、ありえねぇ」

「ま、まさかよな?」


千夏と黒華が机を並べて昼食の弁当を一緒に食べている事に男達は動揺しまくっていた、接点がなかった2人がいきなり仲良さげな空気に黒華を睨みつけている。


「流石に付き合ってないよな?」

「いやいや、ないでしょ?あんな陰キャの何がいいんだよ」

「脅されてるだろ?委員長を助けるべきか?」

「そうだよな。絶対脅されてる。でなけりゃあんなクソ陰キャと仲良くするのはあり得ない。裏でシメるか?」

「「「賛成」」」


やばい空気に千夏は居心地が悪くなったのか、黒華の手を掴み教室を後にする。そして階段を登り屋上の鍵を開けた。本来なら屋上は出入り禁止だが、ある生徒達はカギが脆くなってる事を知っていてある手順を行えば開けられる仕様。


「真面目な委員長かと思ったけど、ここの開け方は知ってんだな」


「ふふ、由香さんが教えてくれたのですよ。たまに5人でここで昼食を済ませる時があるのです」


「あー」


確かに何回か昼休みに5人ともいなくなる日がちらほらある。どうやら、教室の色々な視線で居心地が悪く屋上で隠れているらしいのだ。あまりそうゆうの気にしないとは思っていたが、意外と美人って大変だなと思った。


「黒華君も開け方は知っている様でしたが」


「あー、俺は知り合いから教えてくれたんだ。って言ってももう卒業してるけどね」


清史郎はこの学園の卒業生。黒華と同じく陰キャの様に正体を隠そうとしていたが、あんな性格なので結局女子生徒達を囲んで仲良くしていたと言っていた。


「いたいた!チナツ!」


2人で床に座りお弁当を食べていると、ドアの方から凛が元気な勢いで入ってくる。


「凛さん!どうしたのですか?」


「え?探してもいなかったから、ここに居るのかなって?それで!誰その子?」


「え、あ、どうも。不動黒華です」


「あ!あたしは凛よ!宜しくね?コクハ、それで2人はどんな関係なの?」


「ふふ、こうゆうの関係です」


「ほぉ〜」


千夏は黒華の腕に抱きつくと凛は関心する様な声を漏らした。黒華の隣にしゃがんで頬杖をする。


「へぇ〜良いじゃん」


彼女の微笑んだ横顔が美しすぎて思わず目を見開いてしまう。自分に千夏がいるとダメだダメだと正気に戻って千夏の方に視線を移すとニヤニヤとする千夏、何故ニヤニヤしているのかと首を傾げる。


「千夏?」


「ん〜?どうしたんですか?」


「いや...」


まさか千夏の勘違いの暴走が、あんな形になるとはこの時の黒華は知るよしもなかった。


「凛さんも一緒に食べませんか?」


「え?!良いの!やったー!ん〜〜美味しい」


凛は千夏から差し出した卵焼きをパクリと食べる。美味しそうに食べるのだった。


「少しお手洗いに行っていきます」


千夏は立ち上がり階段を降りた。取り残された黒華と凛は無言な空気が続く。


「ねぇねぇ、コクハ」


「ん?」


「チナツのどこが好きなの?」


「ほへ?」


いきなりの質問に素っ頓狂の声を出してしまった。

やはり友達として見極めているのだろうと、黒華は自分の気持ちを伝えた。


「そうだね。正直言うと昨日までは千夏が可愛いだけで付き合ったみたいなもんがあるけど、今は千夏のどこが好きなのか分かる気がする。人の為に頑張る姿とか、千夏の笑う姿とかね...まぁ、結局今は千夏の可愛いところが好きだけどね」


今は千夏の仲間の事を知らない、千夏の外見にしか惚れてるみたいで、少し元気のない表情を浮かべる。


「ふーん、別に良いんじゃないの?顔が好きだからだけって。本気で好きなんでしょ?」


「まぁ、うん」


気恥ずかしいそうに頷く。


「なら!良いじゃん!本気で顔が好きなら、それも惚れた立派な理由だよ!あたし、恋とかした事ないけど、チナツがこんな立派な男の子と付き合った事が羨ましくて、嬉しい限りだよ!あたしは2人の事を応援してるよ」


それから少し無言な空気が続いてしまった。

5分後ぐらいに千夏が帰ってきて3人で昼休みを過ごしたのさ。

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