※敬愛すべき作品に捧ぐ


音の波に揉まれている時だけが

何者であるかわからせられる

色の霧に惑う時だけが

何をしたいかわからせられる

それはクラッシックだ、デッサンだ

糸を引いて枠を縫い付け

木綿のステッチをかがるのだ

抜け殻は今なお動き

内容物を探し惑う


コンダクターが指を振るえば

カンバスは揺れ皺が入る

面相筆が紙を撫でれば

ヴィオル族は重音を鳴らす

それは理想だ、陽炎だ

追えば追うほど遠くなり

完成すれば未完になるのだ

心は確かに識っている

識っている気がするのだ


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