ネル・フィルター

畜生!

いつもそうだ

俺は

澄み切った寝室に光を返す

サイドテーブルの水差しだ

寝覚めのほかに顧みず

惰性を注ぐ

カルキの染みついた

ワインの器の成れ果てだ


畜生!

いつだってそうだ

お前は

清も濁も飲み下す

フランネルのフィルターだ

冷蔵庫の海に漂い

朝に夕に饗応される

食器棚の公女殿


畜生!

俺は

不味い不味いと言いながら

今日も

ちびた煙草を吹かしている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る