■menu09:「小鳥の里(忍びの掟)」

「忍法☆手裏剣!」

「うぎゃー・・・」


小鳥の里に屍が続いていく。

その一人の頭巾をとり素顔を見て、つむぎは声を震わせた。


「だ、大工さん・・・?」

何と、いつも3時のオヤツに舌鼓を打ってくれていた優しい顔だった。


実は男は、大工を装って小鳥の里を伺っていた隠密だったのだ。

つむぎの膝の上で、男は最後の言葉を絞り出すのだった。


「あ・・・あま・・・ず・・・」

「えっ・・・なにっ・・・・?」


つむぎは男の唇に耳を近づけ、声を聞こうとしている。


「うま・・・かった・・・・」

男はそのまま事切れた。


膝の上の重みに、つむぎは肩を震わせ泣いた。

そして、男の最期の言葉の意味を懸命に考えていたのだ。


「大工さんっ・・・大工さんっ・・・」

つむぎは懸命に男を呼んだ。


義母の部屋のリフォームは終わっていない。

これから、新しい大工を頼むのは「おっくう」なのだ。


新たに「見積り」とるのも。

それを値引き交渉するのも。


だから。

ひたすら、男の意識が回復するよう願っていた。


自分の必殺技で倒したことも忘れて。


そうだ。

玉ねぎ。


つむぎは今日の料理の残り物を冷蔵庫から取り出した。

そして、男の口に一箸、入れてやった。


「甘じょっぱぁー・・・・」

男は叫びながら復活した。


ホッと胸をなでおろす、つむぎの視線の端に。

義母の薄く笑う顔が見えた。


「さっぱりして、エエわ・・・」


小鳥の里に代々続く、掟(おきて)。

それは、義母には決して逆らってはいけないという不条理なものだった。


義母の不敵な笑みを見つめながら自分の運命を呪う「つむぎ」であった。


※※※※※※※※※※※※※※※


いい加減。

止めてください。


やめようと、いつも思うんですけどね。(笑)




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