第3話 豪勢なメンバー

 今のアメリカにおいて、大介の顔は大統領より知られているかもしれない。

 確かにNFLやNBAといった他のプロスポーツも、いまやMLBを上回るほどの人気を持っていたりする。

 動き回るNBAや、戦略性の高いNFL。

 しかしそれよりも、MLBには分かりやすさという価値がある。


 大介の打つホームランは、時々場外弾まで発生している。

 一本のホームランの映像が、何度も繰り返しスポーツニュースやスポーツ番組で流れるのだ。

 そんな大介がフロリダにいるというのは、ごく普通にキャンプ地でもあるので知られている。

 もう少しスプリングトレーニングが近づいてきたら、NPB出身の元チームメイトなどもやってくる。

 だが今は一人、黙々とトレーニングと練習をする。

 ツインズにノックをしてもらうなど、そういった単純なものもあるが、基本的にはバッティングをやらなければいけない。


 守備や走塁にはスランプはないと言われる。

 一番よくスランプをうんぬんされるのは、バッティングで間違いないだろう。

 大介は近隣の学生などを、バッティングピッチャーとして雇ったりした。

 アメリカは普通に。投げるだけなら150km/hを超えるというピッチャーが、そこら中にいる。

 アルバイトで投げてくるピッチャーには、コントロールは求めていない。

 むしろアバウトなコントロールであるので、練習相手には丁度いい。


 数をこなせばいいというものではない。

 どこかが狂っている大介は、10球ほど投げてもらえば、自分のフォームをビデオで確認する。

 施設を使うので、見えにくい体重移動も計測できる。

 何が悪いのか、だんだんと大介にも分かってきた。


 要はタイミングなのである。

 バッティングはタイミングが全てだ。

 バレルで捉えるとか、どの距離まで見るかとか、スイングスピードとかは全て付随的なものだ。

 どのタイミングで目を切るか、どのタイミングでスイングを始動するか。

 基本的にミートすることが、大介のバッティングでは大切なことである。

 そしてミートのためには、バットコントロールが必須である。


 素振りの違和感はなくなってきた。

 目を閉じて振っても、問題はない。

 置きティーを使っても、ちゃんと飛んで行く。

 だが本物のピッチャーの球を打つと、いまいちしっくり来ない。


 飛ぶことは飛ぶのだ。

 強い当たりを、打つことが出来る。

 問題は確実性がなくなったこと。

 普通に勝負してもらえば、確実にスタンドに運んでいた。

 それだけの力が、今の大介にはない。

「おりゃ」

 桜の投げたスルーを、大介は掬い上げる。

 ボールは確かに飛んでいくが、フェンス際までしか飛ばない。

 スピードがないから反発力がない、というわけでもない。

 試しに他の球種を投げてもらえば、スタンドまで軽々と飛んで行く。


 スタジアムを丸々借り切っての練習であるが、これが金を使うということだ。

 球拾いには子供たちを雇ったりして、サインボールと食事を出す。

 金を使うところと、安く済ませるところをしっかり区別する。

 このあたりツインズは、野球に能力を極振りした大介よりは、よほど総合力では優っている。

 それでも二人は、二人がかりで大介を共有することを選んだ。




 日本にいる間もアメリカに来てからも、不調の原因については色々と考えていた。

 分析にはツインズも参加していたため、おそらくこれではないかという結論には到った。

 それはワールドシリーズ最終戦、直史からホームランを打ったこと。

 強烈な成功体験が、大介のバッティング全体を、上書きしてしまったのではということだ。


 大介のバッティングの要諦は、動体視力でしっかりボールを捉え、バットコントロールでボールをミートする、ということになる。

 目を閉じて行う素振りと、置きティーでのバッティングは、もう問題がない。

 動くボールを捉えるのが、いまいちになっているのだ。

 ただその中でストレートは、だいたい打てるようになってきた。


 大きく曲がるボールや、スルーのような特殊な球を、元のように打てるようにならなければならない。

(いや、ひょっとしてスルーは無理か?)

 ホームランにしたのはスルーだ。

 あの記憶が、大介の脳と肉体に、どれだけ強く刻まれているか。

 ここからの合同自主トレで、直史のボールを打つことは出来る。

 おそらく変化球への対応は、それで上手くいくようになるだろう。

(いや、それも微妙か?)

 日本で別れたとき、直史はまだ調子を取り戻していなかった。

 今はバッティングピッチャーをしてもらうなら、調子を取り戻してくれていたほうがありがたい。

 

 大介の変化球打ちは、間違いなく直史との練習で身についたものだ。

 もちろんプロ入り後など、それぞれの球種だけであれば、直史以上の変化球を持っていた者もいる。

 だが、変化球のバリエーションとコンビネーションへの対応。

 それに関してはプロのどのピッチャーより、高校時代の直史の方が上であった。


 昔から、器用貧乏という言葉がある。

 色々出来るがその全てが、超一流にはかなわないというものだ。

 せいぜいが一流半、そこまでで終わる。

 もっとも実際には、内野と外野のほとんどを守れるユーティリティ・プレイヤーというのがいれば、それはなかなか使いやすいものなのだが。

 MLBにしてもチームに一人は、そういう選手がいたりする。


 直史の場合は、カーブが完全に一流のものであった。

 そして他の変化球も、一般的なピッチャーと比べれ、遜色ないレベルで投げられた。

 そこからスルーを身につけて、スルーチェンジを身につけて、高速シンカーとスライダーを磨いた。

 このあたりの球種は、球界トップレベルである。

 そして球種は一つ増えると、コンビネーションは三倍から九倍ぐらいにまでは広がる。

 直史の場合などは、ほとんど読みで打つことは不可能になっている。




 直史が来るまでに、大介が出来ることは多くない。

 ただこのフロリダで、気分転換などは出来る。

 アメリカにある、最も多いスポーツ施設と呼べるものは何か。

 それはもちろん野球場ではない。

 バスケットボールのゴールリングだ。


 地元の子供や大人に混じって、大介はプレイしていたりする。

 昔からセイバーなどにも、野球以外のスポーツもそこそこすることは、野球のためにもいいことだと言われていた。

 肉体が完全に野球用になってしまうと、かえって故障が多くなる。

 水泳で全身運動をしたり、大介の場合は守備のフットワークのため、バスケやサッカーをするのもいいと言われた。 

 もちろんムキにならない程度で。


 完全に身長スポーツのバスケは、本来なら大介は圧倒的な不利である。

 だがスピード、クイックネス、バネなどの要素は、本職にも負けないのではなかろうか。

 野球と違ってバスケットボールは、集中ではなく俯瞰のスポーツだ。

 野球ほどにプレイが止まることはなく、バッターのようにボールを持った人間が一点集中するわけではない。

 それでも野球のどこに似ているのかと言うと、ランナーがいる時の守備に似ている。

 打球のボールの位置、そしてランナー、味方の守備。

 だが基本的に野球は、守備であってもセットプレイが多い。


 やればやるほど上手くなるのが守備だ。

 もちろんそれは、上手くなるやり方をしているのが前提だが。

 高校野球においても、まず弱さから脱するには守備を特訓すればいい。

 もちろんそれは、特訓の効率を考えなければいけないが。


 それに対するとピッチングやバッティングは、才能がかなりものを言う。

 練習ではなく、トレーニングが必要であったりする。

 MLBに来てからは特に、大介は直史の練習は無茶苦茶なんだな、と思うことが多い。

 投げ込みというのは現在のMLBでは、ほぼ行われていない練習である。


 大介に対しても、当初はウエイトをやった方がいいという声はあった。

 NPBでもMLBでも、両方である。

 だが大介は、ウエイトはしていない。インナーマッスルを鍛えることはしているが。

 結果が出ているので、それでいいのだと思っている。


 結局のところ成功するかどうかというのは、取捨選択が大きいのだ。

 大介がやっていた、中学までのゴロを打つ練習。

 あれをずっとやっていたなら、今ごろはどうなっていただろう。

 セイバーが監督になる前から、白富東ではゴロ打ちなどしなかった。

 ゴロを打つ重要性は、高校野球の中ではないわけではない。

 自分がどうこうではなく、チームのために打つバッターなら、それもありだったろう。

 直史などはバッティングは、ミートできるのに長打は狙っていなかった。

 逆に岩崎などは、打率も出塁率も微妙であったが、何本かホームランを打っていた。


 フロリダの暖かな環境の中で、子供たちは遊んでいるし、大介はとにかく体を動かす。

 半日ほど何もせず、ぼーっと過ごしたこともある。

 芝生の上で寝転んでいれば、いつの間にかツインズも隣で寝ていたこともある。

 子供たちは家の中で、シッターがお昼寝をさせていたりした。


 野球だけをやっていたら、むしろ野球だけの肉体になって、そしてかえって野球が下手になる。

 このオフに大介が気付いたのは、そういうことであった。

 100マイルを投げるようなピッチャーは、もう打てるように戻ってきた。

 ナチュラルに手元で動くようなボールを投げられても、しっかりと打てるようになってきた。

 他のスポーツをやることによって、何かがリセットされたのだ。

 そして大介は、おそらくあのワールドシリーズの最終打席より、バッティングが下手になった。

 もっともあの瞬間の大介が、バッティングが上手すぎたと言うべきかもしれないが。


 ゾーンに入って、さらにその深いゾーンに入る。

 まるで数秒先の、未来が見えているような感じ。

 時間が間延びして、ボールの当たる最適の場所にバットを持っていく。

 角度なども考えなければいけない。

 レベルスイングを心がけて、スタンドまでしっかりと持っていく。

 

 あとは直史が来れば、難しい変化球を打っていけばいい。

 さすがにそのへんのアマチュアに、直史ほど厳しく変化球を使うピッチャーはいない。

 そして大介は、メトロズのチーム再編成についても、時折調べていくのであった。




 メトロズのチーム編成について、大介の耳にも入ってくる。

 今年は二番で使われるのか、と納得する大介。

 とにかく大介にとって重要なのは、敬遠されないことだ。

 一番に出塁率の高いバッターを置けば、ランナーがいる状態で大介と対決することになる。

 あるいはこれを九番に置いて、大介は一番のままという想定もあるらしい。


 大介の場合、これまでの多くのスラッガーと最も違うのは、同時にとてつもない機動力を持っているということだ。

 前にランナーがいないならいないで、盗塁をしまくっていたのがこの二年。

 それでも相変わらず、ある程度は歩かされてしまうのが大介だ。

 敬遠と四球のシーズン記録を、今年も更新などはしたくない。

 さすがにそれは、無理があるのかもしれないが。


 打線は強化されるようだが、ピッチャーはそれでいいのか。

 特にクローザーを、今年は実績のある選手を取っていない。

 過去にライトマンをクローザーとして使って、失敗した経験がある。

 彼は残念ながら、セットアッパーとしては優秀であっても、クローザーのプレッシャーに耐えるのは難しいのだ。


 大介としてはピッチャーが、これで足りるのかという思いがある。

 そしてそれは専属分析班のツインズも同じであるらしい。

 おそらく最も実績が重視されるのが、クローザーというポジションだろう。

 先発のローテははっきり言って、ある程度は負けることを想定されている。

 六回を投げて三失点なら、メトロズのピッチャーはそれでいいのだ。

 だがクローザーは、一点でも取られたら失敗するかもしれない。


 大介の知るクローザーの究極の形は、奪三振率が恐ろしいことになっていた上杉や、ワールドカップでの直史だ。

 だが直史のピッチングスタイルを考えると、クローザー適性は上杉の方が上である。

 直史は実際のところ、セーブ機会に失敗したことはない。

 だが状況によっては、点を取られる可能性は上杉よりも高くなる。

 それはイニングの頭からではなく、途中から投げる場合。

 ランナーがいないなら直史は無失点で抑えるかもしれないが、ランナーがいればそうはいかない。

 ゴロを打たせても点になる場合は、あまり直史は使わない方がいいのだ。


 クローザーの条件というのは、幾つかある。

 肩を作る早さ、回復力、爆発力。

 特に回復力などは、下手をしなくても連投が多いクローザーには必須と言えるだろう。

 そして技術的には、奪三振能力と、四球を出さない能力。

 ランナーがいる状況でリリーフするなら、そこはエラーや、そうでなくともホームに帰れるゴロではなく、三振が理想的なのだ。

(まあ、ナオがやるんなら、三振を取るところでは普通に取りそうだけど)

 それでも直史は基本的に、先発タイプなのである。

 ワールドカップではリリーフとして選出されたが。


 メトロズは今年も、サラリーの総額がぜいたく税の対象になってしまっている。

 しかもこのままなら連続でのオーバーなので、ぜいたく税の税率も高くなってしまう。

 これで徴収された分は、他のチームに分配されることになる。

 それでもオーナーのコールは、強いチームを作ることをやめない。

 大介にとってもありがたいことだ。

 少なくとも今年一年は、ワールドシリーズに進出する戦力を保持して欲しい。

 やがて大介の契約が切れた時、果たしてまた契約を結ぶのかどうか。

 その時、大介は33歳。

 果たして今のようなパフォーマンスが残せるかどうか。


 今年のインターリーグは、ア・リーグの東地区との対戦となる。

 これによってナ・リーグ東地区のチームは、前年に比べれば移動での負担が減る。

 元々MLBのチームは、やや東寄りにチームが多くなっている。

 この移動による負担というのも、選手にとってはバカにならないものだ。

 MLBは技術とパワーのぶつかり合いであるが、それだけに耐久力も問題となる。

 大介の場合はその見た目に合わない耐久力によって、MLBでは特に故障などはない。


 一年目は、イリヤの事件があった。

 二年目は全試合に出場し、ホームランや打点の記録も作ったりした。

 三年目は桜のお産に少し付き合ったが、それはさておき。

 体力的な問題であれば、大介は捕手を除いた守備の要、ショートをしっかりと守っている。

 これがいつまで続けられるのかは、さすがに分からないものであるが。


 それにしても、打線の方は隙なく集めたのに、ピッチャーはこの厚さでいいのか。

 武史がいるとは言え、他のピッチャーの時にはリリーフは必ず必要だ。

 もちろんこれからスプリングトレーニングで、ピックアップしていく作業もあるのだろう。

 だが大介も三年MLBを見てきたが、どれだけ才能がある選手であっても、すぐにMLBで通用する選手はほとんどいない。

「そうは言っても、良さげな選手もいるけどね」

 ツインズの調査は、味方の戦力にまで及んでいるらしい。


 高卒から二年目の選手で、103マイルを投げるピッチャー。

 クローザーというポジションは、ストレートと他にもう一つの球種があれば、それで通用してしまうこともある。

 とにかく球速で押して、もう一つの変化球を混ぜる。

 1イニングを抑えるだけのクローザーなら、これでたいがいはなんとかなるのだ。

 チャンスを何度か与えて、その結果によって戦力は整える。

「連覇を狙うにしては、ちょっとピッチャーが弱くないか?」

「それだけプロスペクトに期待できる選手がいるんだと思うけどね」

 上手く育たなければ、それはそれで仕方がない。

 今のMLBにおいて連覇をするというのは、凄まじく難しいものなのだ。


 メトロズにしても、かなり資金的に無理をしている。

 だがとにかく強いのは、オーナーのコールがもう高齢で、好きなことに財産は使っちゃうぞ、という心持でいることだ。

 遺産など自分の子供には、充分に教育を与えたからそれでいい。

 金融と不動産で巨万の富を築いたコールであるが、結局お金はあの世には持っていけない。

 人生の最後に、人は金では買えないものを、どうにか金で買ってしまおうとする。

 果たして本当に大丈夫なのかは、他の誰にも分からないものなのだ。




 二月に入る前、フロリダの大介の別荘にやってきたのは、まず第一陣が武史とアレクであった。

 アレクは故郷のブラジルに帰っていたのだが、どうやらアメリカでの永住許可を得たいらしい。

 大介としてはアメリカに、骨を埋めたいとは思わない。

 やはり海外に行くと分かることがあるが、日本が最高なのである。

 ちなみにアメリカ永住権を取るための方法は、いくつかある。

 簡単なのはアメリカにおいて、アメリカ人と結婚してしまうことだ。

 他に金持ちなら簡単なことが、アメリカ国内への一定以上の投資だ。

 アレクの年俸を考えると、これもまた簡単なことである。

 こうやってアメリカ国籍を得ること、そしてアメリカに投資させること。

 これをやっているからこそ、アメリカという国は強くあり続けるのである。


 ちなみに韓国や中国の富豪にとっては、大企業の役員などになって、アメリカ国籍を取ることが、人生のあがりであるらしい。

 日本人にはおおよそ理解できないことであるが、実は日本人でも有能な学者や技術者は、アメリカを目指している者が多い。

 なにしろアメリカは、外からの力を受け入れて強くなってきた。

 そういった人間を優遇する制度があるのだ。


 ただアレクの場合であれば、普通にスポーツでの実績で取る方が簡単だ。

 おおよそ三年、MLBで実績を残せば、永住権が取れる。

 念を入れて五年頑張れば達成だ。

 26歳のシーズンからアメリカに来たアレクは、今年で30歳になる。

 アメリカ人になれるわけである。

 アレクとしては日本もいいのだが、国籍を取る面倒さを考えれば、アメリカ人になる方がいい。

 それにアメリカの方が、才能を持つものにとっては優遇の大きな国なのだ。

 日本の技術者などがアメリカに吸い取られすぎないのは、単純にそんな優秀な人間であっても、言語の壁が大きかったりするからだ。

 日本の英語教育で英語が使えるようにならないのは、人材の流出を恐れる日本の文部科学省の戦略なのだろう。


 独り身のアレクと違い、武史には家族がいる。

 ニューヨークには恵美理も仕事を残しているため、ずっとこちらに来ているというわけにはいかない。

 だが恵美理もまた、特殊な技能で仕事をしている人間だ。

 そういう人間にとっては、仕事というのはある程度の都合がつくものなのだ。


 なんだかんだ言いながら、ここに集まる人間のパートナーは、共働きであることが多い。

 瑞希は本業は休みながらも、執筆活動はここで出来る。

 樋口のところは専業主婦であるが、四人も子供がいるのなら、それも仕方がないだろう。

 結局は家庭を守ってほしいという、樋口なりの保守的な思考がそこにはあるのだろうが。


 なお専業主婦である樋口の妻であるが、その教育者としての経験を活かして、初歩的な学習を教えてもらっている。

 彼女の持っている教育免許は、小学校向けのものではないのだが。

 だが児童心理学などを学んでいた彼女は、子供たちを育てる現役の母親である。

 二人で育てているのであまり負担のないツインズや、お嬢様育ちで人を雇うことに慣れている恵美理、そして仕事を理由にシッターを雇う瑞希とは、母親としてのレベルが違うらしい。


 二月に入る頃、フロリダにメジャーリーガーは集結した。

 今回のメンバーの中では、樋口が一番、大介とのつながりは薄いであろうか。

 もっとも日本代表としては、やはり同じチームになった経験はある。


 二月でも充分すぎるほど暖かいフロリダで、スプリングトレーニング前の、最終調整が始まる。

 もっとも既に実績を残している選手は、スプリングトレーニングでも、最初からペースを上げていくわけではないのだが。

 ラストイヤー。

 最後の年に、いくつの伝説が生まれるのか。

 それを知っている者は、期待してシーズンの開幕を待っている。

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