北の街に、「りら」(ライラック)の花が咲く。紫の「りら」の花が。

「りら」という木の花があります。「りら」はフランス語で、英語ではライラック。その花の、特に紫色の花の花言葉に象徴される、北の都の――出会いと想いの物語です。

北の都――札幌。この街に降り立つ男と、ひょんなことから彼を案内することになった彼女。
「彼」の視点で「彼女」のことを描きつつ、読む方も「彼女」に惹かれます。
そして「彼女」の視点での話になって……。
札幌や小樽といった北の街々への旅情を駆り立てつつ、「彼」と「彼女」の心情をつづる、綺麗な文章に読む方も引き込まれます。

そして「りら」の花。
繰り返しますが、この花の――特に紫色の花の、花言葉。
キャッチフレーズに提示されているこの花言葉が、締めくくります。
読む方もまた、目に鮮やかな紫と共に、その花言葉が胸に染み入る想いでした。

ぜひ、ご一読を。