第39話 圧勝してやった

「ごめん、遅くなって」


そう言って、静寂が支配するこの空間を足音をたてながら私の元へと歩み寄ってくる。一目見ただけだと、様子もなにもかも変わっていて別人かと思ったけど、間違いない。私の、“お兄ちゃん”だ。


「ううん、大丈夫。でも、あと少し遅れてたら怒ってたかも」


「それは失礼」


お兄ちゃんが差し伸べてくる手を握ると、そのまま私は一回転させられて、お兄ちゃんの腕の中にいる。


「えっ!?お兄ちゃん、大丈夫?」


私を抱えたままだと、武器が使えない。でも、お兄ちゃんは余裕の表情を崩すことはなかった。


「さて、どうする?俺の初めてできた大切な人を傷つけた罪は重いぞ」


「初めてできた」や「大切な人」に過敏に反応してしまって、多分今私は赤面している。それ以上に、素直に嬉しいという気持ちが胸の奥から込み上げていた。


「てめぇ、一体誰だよ!?どうやったら今の状況をひっくり返せるんだよ!?」


数分前までガッツポーズをしていたのに、今は男の顔が怒りや悲しみなどの感情でどんでもないものになっていた。

それなのに、お兄ちゃんはさらに加速させていった。


「まあ、種明かしをするとこれだな」


目の前に一つ、小さなナイフが表れた。お兄ちゃん曰く、「これをくるくるっと回せば終わり」らしい。


「おかしいだろうが!なんでそんな小さいナイフで立派な剣が粉々になるんだよ!?」


もはや見るに堪えない。しばらくして良い私もその種に気づいたためさらに絶望を与えるべく、お兄ちゃんに抱えられたまま私が続けた。


「よく考えてみて。一度に大量に剣を作り出したところで、その精度は必ずいいとは限らないでしょう?普通なら、剣の中心を叩けば多分壊れるんだけど、この感じだとお兄ちゃんは本当にただただくるくる回しただけなんだよね」


「まあな」


男はようやく気づいたのか、さっきの見るに堪えない顔を引っ込めた。


「そうか!つまりお前はー!」


「おっと、それ以上言うと」


さっきのナイフが男の首元まで移動する。すでに掠っており、お兄ちゃんの魔力のせいで男は少しだけ出血していた。


「そうか……そうかよ!」


男はお兄ちゃんの正体に気づいた。そして、仲間が残っている教室へ向かって走り出した。


「お兄ちゃん、いいの?」


私が聞くと、お兄ちゃんは私を一回降ろして、窓を開けた。


「見ててくれよ。今からあの飛行船から花火が上がるぜ?」


お兄ちゃんは笑みを浮かべると、周囲の魔力を吸い寄せていく。そして、その魔力が一本の槍となった。


「俺の魔力60%、自然魔力40%の少々優しめのやつだ。とくと味わえ」


槍が、遠くで飛んでいる飛行船へと放たれた。私も、別の窓を開けると、みるみる槍が飛行船に近づいてーー


ーーーーっっドン!


大きな爆発音ととも、飛行船は燃えていた。


「お兄ちゃん、あの飛行船壊して大丈夫なの?」


「ああ、音羽をいじめた罰だ」


結局、校舎は一旦放置したまま私は再びお兄ちゃんに抱えられて、内心ルンルン気分でこの場を後にした。


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思ったよりもpv数が伸びずに、今完全に数日前の自分の発言を後悔しております…

だって3日くらいで終わるかな?って思ってたんですもん…

結果、ランキングで下に埋もれているからみんなスルーしていく事態に。

今はマジで「異世界ファンタジー」のランキング500位から510位くらいに落ちてくれって思ってます(笑)

というわけで、疲れ果ててますが、

小説のフォロー、さらに一つでもうれしいので★をつけてくれると私のモチベーションに繋がるのでよろしくお願いします!

そして、明日投稿できなかった場合は限界が来たんだなと思ってください…

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