第37話 魔力扱いのお勉強、兼戦闘準備

「ロワ、これからどうするの?私だけでも先に学園に戻る?」


「いや、アリシアには申し訳ないけどこのままだ。試してみたいことがあって…助言をお願いします」


俺はアリシアを抱えたまま頭を下げる。するとアリシアは少し呆れているようだったが頷いた。


「音羽さんは大丈夫なの?早く戻らなくても」


「ああ、さっきの風は学園側から吹いてきただろ。だとしたら間違いなく音羽の仕業だ。そもそも、あいつもたかがあの数名も大人に負けるはずもない」


「随分と信頼してるんだね」


「まあな」


昔、一緒にあの地獄の場所を抜け出した仲間でもある。あのときと比べればこんなの、お遊びでしかない。

最悪の場合、音羽が記憶削除デリートを使ってしまえば、どうにでもなる。


「で、なにがしたいの?私を抱えたままじゃなにもできないんじゃ…」


飛行船の少し離れたところへ着いた。


「いろいろと教えてほしいことがあるんだが、時間がないから2つだ。まず1つ目。自分の戦闘服を魔力で作れるだろ?それをやってみたい」


「ああーーはい」


なんでこんなに反応が薄いんだ?確かに、魔力で自分の戦闘服を作るって、下手するとそこらの魔力の扱いが上手い子供でもできるかもしれないけど。

それでも俺は初めてなのだ。


「教えるほどでもないんだけどね。魔力を自分に同調させていけば、魔力が自分に合わせてくれるから、それでイメージして、終わり」


「イメージって?」


「自分の理想の戦闘服とか?私の場合は便利アイテムを入れるために実はいくつも小さいポケットがあるから。そんな感じ」


「了解」


そう言って、俺は目を閉じた。魔力を自分と同調、同調…

だんだん、自分の周りになにか包み込むような感覚がやってきた。これが同調できているのかは知らないが、アリシアに言われた通りに、理想形をイメージする。


動きやすいものがいいし、なんなら魔法攻撃の威力を減らす特性のおまけも欲しいところだ。そんな欲望を出し尽くしたイメージをして、自分の体に服が一枚追加された感触があったため、目を開ける。


「おぉー」


ほんとにイメージ図通りだ。自分の体を守るために長袖仕様になっているし、効果を確認すると、ちゃんと魔法攻撃耐性が付いている。


「ロワ、これ作るのにとんでもないくらい魔力を消費したけど大丈夫?」


「まあ、そりゃ高くつくだろうなー。俺、結構無茶な注文したし」


「でも、案外似合ってるじゃん」


「サンキュ」


色こそ、俺の魔力が原材料のせいか、灰色気味の色になっていた。それでも、この魔力攻撃耐性を主張するためか、はたまたただデザインの都合の問題なのか、灰色と赤色のコートとズボンになっていた。


「しかもこれ、追い風が吹くとめっちゃ流されて速く移動できるやつだよ」


「おぉー」


確かに、後ろ側は風を取り込みやすいように、背中の部分が開いていた。

見た感じは重そうなのに、実はめちゃめちゃうごきやすいとか、反則だろ。


と、自分の戦闘服を堪能する暇はないため、次に取り掛かる。


「次に2つ目。これは今から俺が実際にやってみるからなにか悪い点があったら言ってくれ」


「うん」


俺はすぐに魔力を使って、一本の槍を用意。それをまだ割れていない残っている結界の部分に向けて放った。

刹那、魔力の槍が直撃した瞬間、とんでもない衝撃波が放たれた。

そのせいで、飛行船も結界越しのはずなのに激しく揺れている。


「なにか問題は?」


俺が聞くと、アリシアはすごく驚いた表情で、


「いやいや!これで問題?ないない!逆に結界越しにこのパワーはすごいって!」


「あ、そう」


魔力の扱いに関してはあまり慣れていないのだが、問題がないならそれでいい。


「じゃあ戻るか、音羽を助けに」


「あれ?飛行船を半壊させるんじゃなかったの?」


「今は音羽を連れ去ろうとしている連中に今のをぶつけてみたい気分だから、また後でだ」


そう言って、俺はそのまま学園へ戻るのだった。


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さてと、今日もコーヒー飲みますか!

限界を飛び越しました(笑)

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