14.退去命令
私は悪魔との密約を交わして、またスモークサーモンの切り身を摘まんで口に放り込んだ。
クチャ、クチャ、クチャ、クチャ。
私は学校一性格の悪い性悪女がチューインガムを噛みながらいじめられっ子を冷笑するようにニタニタと笑いながら切り身を咀嚼した。
フィオナとジェイクの空いた口はまだ塞がっていない。
ベトナムの敵地奥のジャングルまで攻め入っている二等兵の一週間風呂に入っていない上に履き替えてもいない蒸れたこの上なく臭い靴下をポコチンの代わりに奴らの口に詰め込んでやりたい衝動に駆られた。
私はすっくと立ちあがりジェイクの側に寄った。
そして、平手で頬をぴしゃりと張って言った。
「おい、整形ヤロー、お前、歯が不自然なほどに白過ぎんだよ。お前、あれか、漂白剤で嗽してんのか、アハハ。おい、冷蔵庫まで行ってドンペリ取って来いよ、整形あんちゃんよ」
私のこの一言に呆気に取られていたフィオナとジェイクも我を取り戻し業を煮やしたようである。
フィオナが顔を紅潮させて言った。
「ちょ、ちょ、ちょっとキャシー、あんた、好い加減にしなさいよ。黙って見てれば好き勝手し放題にして」
どうやら、金蔓の前で繕っているらしい。
フィオナが激昂した時はこんなもんじゃ収拾がつかないって事を私は知っている。
猫を被るかまととめがッ!
整形ヤローにアソコをを貫かれてすっかり腑抜けになっちまったな。
ジェイクもフィオナに続いた。
「な、なんて失敬な女だ。早く出て行ってくれ」
整形ヤローが顔を茹蛸のように真っ赤にして喚いた。
私は取調室で散散、白を切った挙句自供に応じる容疑者のように言った。
「はいはい、解りやんしたよ。帰ればいいんでしょうが。はいはい、邪魔者は消えるべし。あっしが帰った後はお好きなようにアソコを嘗め合って楽しんでおくんなまし。はい、それじゃー、バイならバイなら」
私はバッグを引っ掴みテーブルのチーズキャンディーをバッグに仕舞った。
呆れて物も言えない表情で私を見ているフィオナとジェイク。
私はキッチンに向かい冷蔵庫を開けた。
そして、ドン ペリニヨンのプラチナを1本掴んだ。
「ちょ、ちょっと、あんた何してんのよ」
「あんたが昔やってた事をしてるのよ。あんた、昔、私の家に来た時にビールを1本くらいなら持って帰ってもバレないだろうと思って失敬してたでしょ。私、あんたが来る前と帰った後でビールの本数数えてたんだかんね。ちょっと、そこの整形ヤロー、あんたも気を付けといた方がいいよ。あんたが寝てる間に財布の中身を絶対にこのアバズレは失敬してるだろうからね、アハハハハ」
フィオナが本当の事を言われて激昂し本性を現した。
「このクソアマ、根も葉もない事言いやがって。お前とは絶交だ。二度と来るんじゃないわよ」
この時点くらいまでは記憶があった。
だけど、急に猛烈な勢いで酔いが回りだし急に記憶が飛び出した。
さっきのドンペリ一気が効き出したのである。
私の酒量は結構な量に達していた。
酩酊状態となり足元も覚束ない状態のまま私はフィオナ宅を出た。
後方でフィオナがギャーギャー喚いている声が聞こえるような気がする。
「ちょっと戻って来なさいよ。このクソアマ。ドンペリ返しなさいよ」
何て言ってるのか判然としない。
このまま私は記憶を失くして翌日の朝を悲惨な状況で迎える事になろうとは今の私には知る良しもなかった…
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