また予告―願った者だけに救いの手でぶん殴る―
踏み出した結果、変わる世界、変わった世界。
シャカのクリスマスイベントは消え、シアラは唯一人、数万人キャパのアリーナ、満員のステージへ進む。
シアは1人、マイクを持ってステージへのランウェイを歩く。
自分を助けてくれた人達の為、自分を愛してくれた人達の為、そして愛する人達の為に…命をかけて1人、進む。
レヴィ…サラ……タロァ………タロァとの距離…縮まったのにな…
彼女は強いられていた。
これから歌い、直接、そして電波に乗せて、光でレヴィというドラッグを撒き散らし、死ぬ事を。
自ら考え、生きる為に動き始めた彼女を、数多の祈るを享受する絶対的な力を持つ者が阻んだからだ。
シアの背後には他者には見えず、シアを傀儡に世界に毒を与える者がいた。
その者がシアの死への歩みを押す、ランウェイの先、人を狂わせ、信仰を与え、貶める為ドラッグを撒き散らし死ぬ為に向かう舞台は、まさに処刑台。
他者を慮り自分を犠牲にしていた彼女が…自分の為に祈った。
生きたいと…愛する人と、人達と生きたいと、確か思った。
信じていなかった何かに…助けて…と願った。
願いは夜空に、その時の流れ星をシアは生涯忘れない。
流れ星の先、そこにはシアの望む祈りがあった。
ライトが当たってないが見える。暗闇の中にいる…その姿は邪神の類かも知れない。
もしかしたら…背後からシアを圧する何か、神々しくも美しい、俗に言う天使の姿をした者の方が、高潔で信じるべき神なのかもしれない。
だがシアは確信した、私の信じるモノは前にある…
シアの前には身の丈は3メートル近く、その姿はまさに鬼…堕天した神ともとれる、破壊の化身。
その顔は白目をむき、人とは思えぬ長さの舌を出し斜めを向いている。
いわゆるアへ顔である。
三眼六臂で四足の足、青と赤の斑模様のある、破壊出来ぬものは無いと感じさせる筋肉とその力、圧力。
まさに力を示す、力で進む、力で語る、力で切り拓くバケモノ。
シアは迷わず駆け出し、手を伸ばした
シアの背後にいる神々しい天使の様な何かが、目に見えぬ長物をシアに向け振りおろす…直後、シアの位置とバケモノの位置が入れ替わる。
シアに振り下ろされたであろう何かを掴み、バケモノはニチャアっと笑う。
天使は問う、貴様は何者か?何をしに来た?…と。
――――――――――――――――――――――
そして別の刻。
その場所はシアの歌うアリーナの隣のホテル、9階のロビー。
そこには手を伸ばしたまま気を失い抱えられている、目には涙の後と目から首までドラッグ・ラヴィの証である黒い斑模様のある、まだ幼い女。
その女の子こそ、先程までアリーナを賑わしていた歌姫の妹、着飾った姿はシアに届かずとも近い姿のサラであった。
「サラを連れて行かないで下さい!俺が何でもします!だからお願いします!どうか!お願いします!」
サラを抱きしめながら必死に懇願する、まるで何かの事故に合ったかのような、傷だらけの少年。
選ぶ事をせず、突き放す事も出来ず、中途半端なまま、しかしそれこそが、彼の赦し続ける行為であった青年、太郎。
彼満身創痍に関わらず、命をかけて懇願する。
懇願する相手は、まさに純潔を示す様な聖職者の姿をした女性…聖女然としているが…明らかに異様な空気を漂わす。
とても美しく、漂う空気から冷たく、その存在自体が眩い。
聖女はロビーの窓ガラスを割る、強い風が入ってきた。
周りには太郎の妹、メグミを含め幾人かが倒れていた。
意識のあるメグミは、目だけで聖女を睨み声を絞り出す。
「かえせぇ…」
「ラヴィ ロスト ガブリエラ アンノウン ウリエイラ エラー シット ミカエラ スタート スクラッチ」
英語の羅列、名前と結果と思われるが人の姿をした何かの考えている事は誰にも分からない。
そして片手はサラの足を掴み、太郎に片手を近づける…
全員が驚愕したその時…
横たえていた筈の赤黒い猫を模したバトルスーツを着た女が倒れたまま聖女を指さした。
「ハハハッ!馬鹿が!お前等は一番関わっちゃいないモノに手を出した…何が神だ!神もどきが!本物が来たぞ!遅いんですよ!アンタ達は!」
太郎は見た…確かにその目で神を見た。
割った窓の外…胡座をかいた様な状態で宙浮いた何かがいた。数えきれない程の掌と腕、その手には親愛なる動物のような幼馴染、その友達と思われる外国人女性、そして仲の良い先輩や、昔はゆるふわで空気のような幼馴染…
皆がいた、皆が驚いた顔をしていた。
その姿は、神社仏閣で見るような…菩薩…
しかしその顔は三眼は全て明後日の方を向き、3つの舌が揺らめいている。
いわゆるアへ顔である。
四足の足で胡座を綺麗に畳み、身体に刻まれている様な青と赤のトライバル、そして何より身体から出る万はあろうかという、腕、肘、手、掌、て、テ、ハンド…
菩薩の様だが違う、どちらかと言えば化物、バケモノと言える。
だが太郎は知っている…この人達は数々の困難を乗り越え幸せを掴み闘い続けて来た。
何も分からずとも、赦す事の真髄はこの二人から教わった。そして…名前を叫んだ。
「ヒロさああああん!!タツさぁあああん!!!」
そのバケモノと、バケモノの胸に両腕て抑えつける様に抱れ、膨らんだ両胸から顔だけ出てる、歪な一角の生えた鬼もそれに応えた。
「タロァミャン!ほんみょうやみぇろばか!わりゃあッ
「偽名だからってそりゃないよ、そりゃお前のあの毛が人より濃いとは言ったけどさ、俺の中学の時の悪口を名乗り口上に使うなよ…」
聖女は振り返り、明らかに異様な光の力がバケモノの方に向いた。
「デビル? ロスト ロスト ロスト ロスト…」
太郎の大切な人達を掴みながら回転し、突っ込んでくるバケモノ…
「おみゃらりゃあ!ラブコミェらねぇッ!しゃっしゃとファンタジィにきゃえれ!」
お互いが目に見える距離に接近した時、鬼は太郎とサラが聖女に捕まれ、怯えながら懇願しているのを知る…瞬間、まさに鬼の様な雄叫びを上げバケモノの胸から飛び出し空中で拳を振り上げ力まかせに殴る動きをする。
そしてそれに対応する様に構える聖女…
「あばえらぁぁぁぁっっ!!いづもがんげいねぇまぎそえがぁぁぁぁっっっ!ざごがりやべぼぁッッッ!」
「カウンター デリート デリート デリート デリッ!?」
お互いが正面からぶつかる刹那、突然男の鬼が加速した。それもフォークボールの様に急に落ちた。
それは相対している二人も認識出来ない速度。
そして菩薩は舌を出しながら宣言する…
『ウリャアッ!こりぇがほんろの、キャ○ティマ…クラッシュら!』
鬼を抱きかかえていたバケモノの様な菩薩が、突如鬼の頭を掴んでそのまま鬼の角で聖女の下腹を突き刺した…
そしてそのまま鬼と聖女が掴み合いそのまま押し倒し何やら卑猥な事をし始めた姿を見て、菩薩がワナワナと怒った…
「ニョットNTR!絡み合うのはベッドのにゃか!バレるのはラブホの入口でゃけ!」
馬鹿みたいな状態から、シアが太郎の方に飛び出した。
「タロァ!サラ!帰ろうっ!私達の!普通の毎日に!」
始まるのは胸糞非日常からラブコメに還る物語
※本編はちゃんとラブコメします。この人達の話は話で別の所でちゃんとやりたいです。
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