第14話

 あれからお化け屋敷、観覧車、フリーフォールなど時間を惜しむようにデートを楽しんだ。


 だからこそずっと楽しい時間を過ごせ、その分時間も早く進んだのだろう。気付けば4時55分。俺が予定していた時間までもうすぐとなっていた。


 辺りはもう闇に飲まれており太陽の代わりに月が顔を覗かせている。そんな中俺たちは大きなクリスマスツリーが立っている大通りに移動した。既に他の来場者も集まっておりその時間が来るのを刻一刻と待ちわびている。


 クリスマスツリーから少し離れたベンチに腰かけると俺たちもただ時間が過ぎるのを待つ。それから数分後、その時がやってきた。


 クリスマスツリーがライトアップしたかと思うと次第に大通り、アトラクションとどんどん輝き始める。気付けば先ほどまで暗かったこの場所も未来みらいの顔がはっきり見えるほど明るくなっていた。


 ロマンチックな夜の景色に見惚れる未来みらいに体を向ける。


「メリークリスマス、未来みらい

「メリークリスマス、トモ君」


 俺は未来みらいの頬にそっと触れる。くすぐったいのか少し体をくねらせると俺の手に未来みらいが手を添えた。そのまま俺の次の行動を察して静かに瞳を閉じる。


 俺はその期待に応えるべく顔を近づけ……キスをした。


 いつものキスとは違う。すぐに終わらずそのままキープ。心の中で5秒ほど数えてからそっと唇を離した。


 未来みらいも目を開けて先ほど起きたことを確かめるように指を自身の唇に当てる。そのまま俺の顔を見つめると抱き着いてきた。慌てずに俺も抱き返す。しっかりと、未来みらいを守るように。

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