満月



 一寸法師たちは、鬼ヶ島のそばの村に頼み、貢物みつぎものを用意してもらいました。


 鬼たちは、おいしい食事や、お酒に酔いしれています。


 一寸法師は、おやゆび姫の花に隠れる魔法で、鬼のそばまで連れて行ってもらいました。


 鬼は食事中でした。


「いくぞ!!」


 鬼が大きな肉を丸呑みするため口を大きく開けました。一寸法師は、勢いよく鬼の口の中に飛び込みました。一寸法師は、鬼にパックリ食べられてしまいました。


「エイエイエイ!!」


「んん。イタイ? 痛いイタイいたい!! 助けてくれ──!!」


 鬼はすぐに降参しました。


 鬼の口から飛び出した一寸法師は、手に金色に輝く小槌を持っていました。


「それは、なんでも願いを叶える打ち出の小槌じゃ!!」


 鬼はそれを一寸法師に献上しました。


「武器も金も捕らえた女も、みんなやる!! だから命だけは助けてくれ!!」


 鬼たちは、島を離れて逃げていきました。二度と帰って来ませんでした。



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