第15話 魔術の適性
私は生まれつき魔術の撃ち合いを不得意とする
それはなぜかを説明する前に魔術について説明する必要があるだろう
魔術というのは空気中に存在している魔素を圧縮し自らの力として扱うことを言う
空気中に存在している魔素を集めるにはそれ相応の環境への干渉力が必要になる
複雑な魔術を行使するにはそれだけ高い干渉力が必要になる
環境への干渉力を高めるにはレベルを上げる以外に特殊な訓練を積むことでも上げることができるが、その仕組み故にレベルが高いほど扱う魔術は強力になる傾向がある
通常であれば遠距離攻撃手段以外ではほとんど使用することが難しく、一対一の決闘なのであればそれはもう使い物にならないほどだ
しかし無詠唱があると話は違ってくる
無詠唱は威力の減衰などのデメリットはあるものの遠距離攻撃手段を持たない相手に対しては魔術を行使することが安定択となってしまう
魔術を連続で行使し続けると環境への干渉による負担が大きく疲労してしまうが、それでも数十発を撃ち続けることができるだろう
無詠唱についても語ったが私の問題点はその詠唱にある
私の強化魔法の特性は環境への干渉力の強化である
そして私は生まれつき干渉力が強く、現在私のレベルは29だがその干渉力はすでにレベル49程度まで到達している
つまり私は空気中に漂っている魔素を集めるのが得意ということだ
先程述べた通り通り私の問題点は詠唱である
環境に干渉し手元に集めた魔素を他のものに変換する行程が詠唱だ
魔素をそれ以外のものに変化させるには、それぞれの適正が存在する
これがいわゆる魔術への適性である
オーソドックスな魔術である属性魔法には人により変換できる属性の個人差がある
ほとんどのものが火水風の変換を可能とし、魔術の天才と称されるような存在になれば、光や雷への変換をも可能とする
それ以外の特殊な属性への変換も可能とする人物もいるそうだ
それに対し私が変換可能なのは火いや炎のみだ
私が魔素を火に変換すると火は一般的なものより強力なものへと変換される
炎はその性質ゆえ高い攻撃力を有するが、その攻撃範囲は中距離程度にとどまる
それ以上の遠距離への攻撃をしようとすれば私のように干渉力が強かろうと魔素を圧縮し炎を炎で押し出す必要がある
しかし全てのものがこのような工程を踏む必要はない。風属性の適正を持っているものであれば風と炎を同時に生み出し風に乗せて炎を飛ばすことにより遠距離攻撃も可能とする
そして風属性単体でも遠距離攻撃を得意とするのでそもそも遠距離攻撃に炎を使う理由はあまりない。
基本的には炎属性は近中距離で真価を発揮するのだ。
殆どの魔術に使用する他の属性と融合させてその性能を伸ばすという行為を私は適正故に使用することができない
クリスタ公爵家以外であれば失望せざるを得ない程の能力だが私の能力はこの公爵家の秘伝魔法とマッチしているためなんの問題もなかったが遠距離攻撃という点では酷く脆い
だが今の私はそんなことがまるで気にならないほど興奮していた
「体外に出した血液の操作に成功した!!」
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魔素
魔力とは別物
通常魔力は空気中にはないものだが魔素は常時空気中に存在している
そして魔術を大量にを行使したからと言って魔素が枯れることはない
なぜなら魔術の使用者の干渉力が切れた時点で魔術は魔素に戻るからだ
魔術
魔素を何らかの形で行使する技術の名
詠唱の行程を挟まなくともそれは魔術となり、魔素を何らかの形に変換しなくても放ったそれは魔術となる
大まかな5属性に変換する魔術を属性魔法と呼ぶがその他にもたくさんの魔術が存在している
ちなみにだが土属性は存在せず似たようなものとして構築魔術がある
属性魔術がオーソドックスな理由として属性魔術の自由度が挙げられる
エルフがよく使うする自然魔術なども有名
空間魔術などもあり空間魔術を利用して作成された魔導具は、ほとんどが腕輪型をしておりポケットリングと呼ばれている
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