Chase 21 Chika side ドカ食いのち、大満腹。


 ――例えるなら、今日のお天気。曇りのち晴れ。同じ響きとニューアンス。



 所は吉田屋。様々なバリエーションを誇る牛丼専門店。僕はティムさんと一緒に店内へと入る。店内で食す方が断然おいしいのだけど、テイクアウトで皆の分まとめて。


 抱える袋。その中は、パックに入った牛丼……


 それもメガ級。皆の分すべてがメガ級なの……

 匂い誘われ鳴り響くお腹、笑う笑う車の中……


「食しましょっ。千佳ちかのお腹、限界みたいだし。……さあ、牛丼パーティの始まりよ」


 との可奈かなの一声により会話は途切れる。あのマシンガントークの可奈も食すことに集中……って凄い勢い。アニマル感を発揮! 発揮、発揮で効果音が満ち溢れる車内。


 それでもって僕も負けず劣らず……で、


「ちょ、千佳、その白菜漬け私のっ」


「可奈だって、僕の沢庵盗ったじゃない」


 という具合に、会話の前にバトルだ。食欲なら、可奈にだって負けてない。そのことを自負しも胸を張って掲げて、バトルの前のバトル。すると、太郎たろう君は……


「あのっ、もう少し仲良くお食事できない? お二人とも」

 と、らしくない言葉。それでも勇気を持って物申すけど、


「黙ってなっ!」


 と、僕も可奈も絶妙なハーモニーの、嘸かし迫力満点のお顔だったことだろう。


 こうして太郎君も、

 それにティムさんも、食い物をかけた女の争いを目の当たりにしたことだろう。


 だからこそ、

 体温も温まるというもの。ウォーミングアップにもってこいだ。ゴール近し、いざ本番という名のバトルも迫っている。可奈にしてみると、浮気現場を目の当たりにするという意味を示す。……なら梨花りかは、三年目の浮気に突入するということだろうか?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る