Chase 03 Rika side その時から、紡がれている物語。


 ――そう、その時から。



 千佳ちかには恋人……ううん、まだ中学生だからBFボーイフレンドというべきかな?


 手を繋いで行っちゃった。晴れ着を着たまま。元旦もまだ三箇日だったから。


 千佳のBFの名前は、霧島きりしま太郎たろう君。かつては僕とお泊りした仲。洗いっこも、まるで親戚の子のような、弟のようなそんな存在で……僕は、千佳のようにはなれない。


 暫くなかったけど、

 久しぶりに、そんな思いが過った。その時だったの……


梨花りか」と、僕の名を呼ぶ声が聞こえた。すぐさま振り向く。すると……


「せ、せっちゃん?」


 ――驚きもビックリ。今ここにいることが不思議な子。六年生の……あっ、小学生の頃だけど、同じクラスの子。多分だけど、一番仲のいいお友達だったと思える。


「ど、どうして?」


「どうしてって、遊びに来たんじゃない。……でも、どうしたの? そんなにお洒落なんかしちゃって。晴れ着なんて着ちゃって。見ないうちに何か、女の子って感じだし」


 ジロジロ見る、僕のこと……「へえ~へえ~」って声を発しながら。


 僕が「せっちゃん」と呼ぶこの子の氏名は、日々野ひびのせつ。相変わらず派手なスタイル。まるでアメリカの国旗のようなジャンバーに、ヒョウ柄のロングスカート。ブーツ。ゆるふわウェーブの茶髪が靡く。やや釣り目の可愛い感じの子。背は、僕より少し低い。


 それでもって僕は、

「感じじゃなく女の子」と、先ずはふくれ面……だけれど「来て大丈夫だったの? 東の都って今、新型ウィルスで大変なんじゃ、どうやって帰るの?」と、訊くことになった。


「帰るって、バスで。……引っ越したの、私。中学生になってすぐ。学校もこの近くなんだよ。市立の天王てんのう中学校。同じ学年に『星野ほしの』って子がいると聞いたから、でも、不登校になって転校したって聞いたから、……でも、大丈夫そうだね、梨花」



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