第5話 野宿

 ピールクト王国に向かう途中。

 真夜中の行動は危険なため、野宿をすることになった。

 野宿自体は1週間前からしている。


「今日はここで野宿ですね」

「そうですね!」

「うん!」


 何故か微笑んでいる2人。

 てか、名前知らないな。


「自己紹介してませんでしたね」

「……!そうでした!」

「そうだね」


 俺は偽名を名乗ることにした。

 もしも、ロイザを知っていたらどうなるかわからない。


「私はシン・ランティーです」


 シンという名前は、過去に勇者パーティーで盗賊の潜入捜査をさせられた時に使った名前だ。


「ワタシはヒビキ・ピールクトで、こちらが妹のフブキ・ピークルトです」

「よろしく」

「宜しくお願いいたします」


 聴いたことがある名前だった。

 同年代に双子の公女が居ると。


 マジすか、野宿の最中に逃げる予定だったんだが。

 見捨てたら、どうせ『公女殺しの糞野郎』とか言われて家族に被害が及ぶ。この流れなんだろうな。


 でも、人間の近くに長時間いると吐き気がするしな。


「はぁー」

「どうしたの?そんなに大きいため息ついて」

「フブキ様。なんでもありませんよ。お気遣いありがとうございます」

「そう?」

「はい」


 すたすたと自分の馬車に戻っていった。


 周りに魔物も居なさそうだ、念のため結界を張っとくか。


 俺は≪結界呪文≫を唱え、結界を作った。


 でだ、俺はこの後どうすれば。


 ・ピークルト王国までつれていく

 ・テレポートさせる(2人は俺がキツイ)


 見捨てるという選択肢もあったのだが、別にこの2人は俺などに迷惑をかけていない。


 俺が敵視しているのはレヴァレシト王国の奴らのこと。


 だが、俺の事情に巻き込むと2人にも迷惑が及ぶ。

 それは避けたい。


 決めた、ピークルト王国の門まで馬車を操り、着いたらすぐに消える。


 これだ。



 ∈≡≡≡≡≡≡∋



「おはよぉ」

「おはようございます」


 ヒビキが馬車から起きてきた。

 顔立ちがとても可愛いらしい、少し見惚れていた。


 ドンッ!


「え?」


 馬車から大きな音がした。

 馬車に行くと、フブキが椅子から落ちていた。


「痛い」

「ぶっ、何してるんですか」


 少し面白かったため、俺は少し吹いてしまった。

 なんか公女ってもっと、語尾に『ですわ!』みたいなのを想像していたがフブキはドジっ子らしい。


「そういえば、直ぐそこに川があるので水を浴びれますけど、どうしますか」

「浴びたいですね」

「タオルなら持ってますよ。」


 俺は≪収納魔法≫でタオルを出した。

 それを見た2人は「おぉー」と声を揃えて驚いていた。


「どうぞ」


 俺は2人にタオルを渡した。

 でも、2人なにか言いたそうだ。


「魔物の心配は無いですのでご安心ください。私はここで馬車の点検をしているのでゆっくり水を浴びてきてください。」

「わかりました」


 2人とも安心したようだ。

 魔物とか出ても、あの2人は対処できないのだろう。


 そして、俺は馬車の点検をするのだった。



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もうすぐで8月が終わってしまいます。

不貞腐れてる鈴柳です。


9月からは月に3話ほど更新する予定です。申し訳ないです。


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