おっさん、モットーがずれる


 「まぁ、いけるところまでいこうよ。」


 「あ、あぁ!」


 というか、お気づきであろうか。


 ついさっき、まぁ、ダンジョンを入る前だが、俺は「おっさんだからガツガツ冒険したりとかしないでのんびり生きよう!」的な発言をしたはずなのに、これじゃあもう紛れもなく冒険者。


 どうしてこうなってしまったんだ?


 確かに、彼女、リリカはメチャメチャ強いし、いまのところはあまり命の危険を感じないけど、多分、魔物に勝っていくうちにヒートアップして気づいたら魔王城…………何てことになりそうだ。


 「な、なぁ、リリカ。ちょっといいかい?」


 「なに?おじさん?」


 「あの……何か言いづらいんだけど、実は俺さ、あんまり魔物と戦ったり……その……強い魔物と戦いたい訳ではないんだよねぇ……」


 「強い?まだここらの魔物は強くないぞ?」


 そうでした。彼女は兵士四人分だった。


 「ハハ、まぁ、加減はするよ。六階にはいかないで五階の探索でもしよう。五階は色々と面白い場所なんだよ。観光とでも思って行こう。」


 なるほど。もしかすると、彼女と少し似ているかもしれない。


 というか、彼女のダンジョンに潜る理由って何なんだろう……こんな若い子が、本当にお金稼ぎのためなのか。それとも、何かしっかりした理由があるのか。

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