逆ハーレム


偽聖女を国外追放した一週間後、

侯爵家と伯爵家の処刑が行われた。


「これでこの国の膿を少し出すことができた!

よし、聖女様に会いに行こう!」

王太子ガーランドは処刑を見届け、異世界から来た聖女に会いに行く。


「聖女アミ!入ってもよろしいか?」

俺は扉を軽くノックをした。


「殿下!どうぞ入ってください!」

返事をもらったので聖女アミに用意した部屋に入った。

「聖女アミ、殿下ではなく名前で呼んでくれと言ったではないか!」

「そう言われましても、身分の差が、、」

「気にするな!私が許す!」

「、、はいガーランド様」

聖女様であるアミ・ササキにそう呼ばれる俺は満足する。


「不便なことはないか?

何かあれば俺に言えなんとかする。

今日はこれを渡しに来た」

俺はここに来る前にメイドに頼んでおいたネックレスを聖女アミの前に出した。


「ガーランド様、私にいただけるのですか?

来るたびに何かいただけるのは嬉しいのですが、大丈夫なんですか?」

「問題ない!俺は王太子次期国王だ!なんとでもなる!

それにしても偽聖女とは違い、俺の心配をするなど優しいな。

やつは回復魔法を使えることをいいことに散々金をせびり、宝石などの貴金属を買い漁っていた!

本当に聖女アミが来てくれてよかったよ」

「私もガーランド様に会えてよかったです!」

そう言って笑いかけてくれる聖女アミにイラついた心が洗われる。


「君といると癒されるな。

では王太子としての仕事があるので失礼する」

俺は部屋から出て行った。

「本物のガーランドかっこよすぎ」

と言う言葉は俺には届かなかった。





学校で気に入らない子を躾けた後私は家に帰って、乙女ゲームをする。

みんなにはリア充って設定になっているが、バリバリのオタクだ。

今日も全てをコンプリートするため、

『アリエッナ』を起動する。

起動した直後テレビ画面から目も開けられないほどの光を浴び、次に目を開けると知らないところにいた。


「おお!やはり伝承にあった通りだ!

本物の聖女様が召喚されたぞ!!」

そう叫ぶゲームの推しキャラにそっくりな男性を見た。

推しキャラにそっくりな人は、推しキャラだった。


どうやら私は乙女ゲーム『アリエッナ』の世界に召喚されたらしい。

ヒロインの1人として。



もう1人のヒロインに攻略対象を奪われたくないので、このゲームで暗殺者をしている攻略対象をゲーム通りに攻略し、孤児院にいるヒロインを殺させた。


あとは思惑通りに偽物の聖女を追い出し、

聖女となった私は王子や宰相、騎士団長の息子達も虜にした。

つまり逆ハーレムに成功した。

後は隠しキャラである、自分の正体を隠しながら行商を行う隣国の王子をゲットするだけ。




いくら待っても隠しキャラはこの街に訪れなかった。

聖女と虜にした攻略対象の権力を使い、この国の隅から隅まで探してもらったけど、見つからなかった。

おそらくまだこの国には入ってないと考えたので、後回しにすることにした。

そして

今日は、結婚式。

純白のドレスを着た私は煌びやかな格好をした彼らに連れられ、神父の前に立つ。


「汝、如何なる時も伴侶達を疑いもせず、常に信じ続けると誓うか」

神父が私に言うので、

「信じ続けることを誓います」

手を組み胸の前に出しながら。


「汝らも誓えるか」

「もちろん誓おう」

「誓いましょう」

「誓うに決まっているだろ」

「ち、誓います」

「、、、誓う」

王太子ガーランド

次期宰相ステフィン

騎士団長の息子テリー

次期侯爵クライン

元暗殺者ハーベルト

それぞれがキャラに合ったセリフで誓った。


「それでは愛の誓いに接吻をしなさい」


私は後ろにいる彼らの方を向くと、王太子のガーランドが近づいてきて私のベールをとった。


「聖女アミよ、其方はこれから聖女だけではなくこの国の王妃になる。

どうか王になる俺を支えてくれ」

「はいもちろんですガーランド様」

ガーランドは口付けしたあと離れ次はステフィンが来た。


「アミ殿、宰相になったあかつきには、王妃となった貴方を支えましょう」

「ありがとうございますステフィン様」

ステフィンが軽く口付けをすると、ステフィンを後ろに引っ張りテリーが前に来た。


「アミ!俺様は必ず騎士団長になる!

そしてずっとお前を守ってやる!」

「テリー様心強いです」

左手で頭の後ろを掴まれながら強めに口付けされた。満足したのかニカっと笑い戻っていった。

そしてオドオドしながらクラインがこっちに来た。


「アミお姉ちゃん、やっと成人したばっかりでまだ頼りないと思うけど、きっと頼りになる男になるよ!」

「期待してますよクラインくん」

クラインは私より小さいので私から口付けをした。

クラインは顔を真っ赤にしながら戻り、最後の1人ハーベルトが来た。


「アミ様どうかこの道具である私をうまくお使いください」

「道具なんて悲しいこと言わないで貴方は人間よ」

私はハーベルトを抱きしめながら口付けをした。


「これよりこのもの達を神の名の下に夫婦として認める」


結婚式をやっている会場から溢れんばかりの歓声と拍手が聞こえる。


この後王都でパレードをし、王都中の国民からも拍手喝采を受けた。


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