第28話

俺はというと案の定、沙和ちゃんが男と話しているのを見た時から全く授業に集中できていなかった。


「翔ー、お前ご飯どうすんだ?俺は中条に脅されて、昼はあいつと食わなきゃだめなんだが、どうせ沙和ちゃんのところでも行くんだろ?もしあれだったら俺たちと一緒に食べるか?な?食べたいだろ?」


晃が気軽に声をかけてくるが、横ではにっこりと笑っている怖めのギャルさんが控えている。俺のことをえげつない目で見ている。


手を出すなよ?


ってことですよね。わかります、わかります。察しの悪い系主人公じゃないんで空気読ませてもらいます一方、俺の友達は助けてくれと目で訴えている。大事な友達だし大事にしたいという気持ちはもちろんあるし悩むなぁ……。


「どうぞ連れていって下さい。僕は、ひとりで食べさせてもらいます。」

「ありがとー。ほら、早くいくよ、晃」


晃は俺ににこやかな笑みを残して消えていった。後でジュースでも奢ってやるか。


で俺はどうしようか。言葉通り一人で、食べてもいいんだが都会のやつと仲良くなるために一緒に食べるというのも、いい気がするが……。


悩んでいたんだが、俺は気づいたら、沙和ちゃんの教室の前に来ていた。昨日までは怖かった上級生の教室も怖くない。


(おら、出てこいや。沙和ちゃんと話してた、くそ野郎。ぶち〇してや……)


俺がとても地上波では流せないようなことを考えていたら、後ろから声がかけられる。沙和ちゃんかと思ったが、違ったらしい。誰かというと俺が初日にあっていた、ツインテール先輩。沙和ちゃんの友達らしい。


少し高飛車っぽく、先輩風をふかしている。事実先輩なんだが。


「おっ!噂の一年生君だね、上級生のクラスに何しに来たのかな?さてはあれだな?沙和ちゃん目当てだなー?よろしい、よろしい。私が沙和ちゃんを呼んであげよう。君、名前はなんていうんだね?」

「夏目翔です。呼んでくれるんですか?呼んでくれるんですね。早くしてください、くそ野郎にとられる前に」


俺がツインテール先輩をせかす。彼女は少し後ずさりをしてなぜか、頬を赤らめながら、つぶやくようにして言うのだった。


「お、落ち着きたまえ。その距離はちょっとばかし良くないなっ///」

「すいません」


俺は興奮しすぎていたのかもしれない。この癖ははやく直さないと。いつまでも島を引きずっていてはいられない。


先輩は少しだけ咳ばらいをしてから、少し姿勢を直して、自らの名前を語った。


「私は高田さくらだ。どれどれ、沙和ちゃんを呼んでやるか」


そういうと先輩はパタパタと沙和ちゃんのほうへと向かっていた。


◆◆

私は後輩のパシリとして、沙和とかいうかわいい動物を呼びに行くこととなった。それにしてもあいつはまずいな。馬鹿みたいに身長でかいし、イケメンときた。軽く噂になるわけだ。これは沙和も苦労しそうだな。


沙和はバスケ部のメンバーと弁当を広げようとしている沙和に声をかける。


「沙和ー。お前の大好きな後輩が呼んでいるぞ。なぜか、お前の弁当箱袋を持ってな。早くいってやれよ」

「は、はぁ?翔が?し、仕方ないなぁ、呼んでいるなら、ねぇ?めんどくさいなぁ」


誰も何も責めていないのに一人で言い訳をしている。なんだよ、かわいいな。よぉーし、少しからかってやるか。


「そ、そう?いやなら、私が食べてあげようかな?かわいそうだし」


私がそういうと、驚いて、立ち上がり椅子を倒した。大きな音を立ててみんなを驚かしたことにペコペコと頭を下げてから、


「い、嫌とは言ってないでしょ。わたしが行くから。ちょっとごめんね、私はそういうわけだから外すね、ばいばーい」


沙和はそそくさと、イケメン君のもとへと走っていった。私がもう一度、沙和が使っていた席のほうに目を移すとバスケ部の子たちが『good』と言わんばかりに親指を立てていた。


「ごちそうさまです」

「こちらこそ、こちらこそ」


わたしは沙和の体温が軽く残る席に座り、自分の弁当を広げていうのだった。


「あれはやばいな、かわいすぎる」

「「「でしょ。」」」


この後、沙和の話で盛り上がった。


◆◆

結構、あいだ開けちゃったけどまだ見てくれる人がいるのだろうか?

コメントくれるとうれしいです。

星が欲しい。








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