第12話 暗闇


紗織は辺りを見回して


「もう対戦は決まっているんだし。今更どうこう言っても仕方ないわよ」


ついでにぶるっと身体を震わせた。「…暗い山って不気味……」


「今から困難が待ってるっていうのに言うことはそれだけ?」


柚月は言いかけたが


「…この暗闇には魔が潜んでいる…のかも……」

「…え?」

「…あ、えーっと……」


つい


意味のわからないことを言ってしまい


「…暗闇ってこう、精神的にくるっていうか……」


変な言い訳をしどろもどろにしてしまう。



「わかる! 別の意味で精神を病むわぁ……」

「じゃあ帰ろっか」

「そ、そーね!」



歩き出したのも束の間


一抹の不安がふたりの頭の中を通り過ぎた。



「ね、ねえ、わたしたち、どこから登ってきたっけ?」

「確か…‥あっちの方だったかも……」


紗織の指さす方向には


暗い中、3つの人影が見える。



その影は


だんだんこちらに近づいてきて……



ふたりは思わず身構えた。

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