第5話 やはり店の店主はOL様達が苦手のようです(1)

「いやっしゃい! どれと、どれを包もうか?」と。


 凛と威勢のある声色でOLのお姉さま達へと女神の微笑みを投げかけながら問うお狐さま。お稲荷さまなのだが。


 彼女は、女神さまは、御神体さまは成行きと言うか?


 その場の勢い、ノリと、この翔太の情けない顔色、形相、様子……。


 こんなにもと、言うか?


 大変に失礼極まりないと言うか?


 普通の翔太ぐらいの三十路前後の年齢の青年の青年ならが大変に歓喜、歓声──。


 己の声を大にしながら『やったぁっ!』、『嬉しい!』、『ありがとう!』、『自分は何て果報者なのだ!』、『またおいでやす』と言いたくなる。叫びたくなるような麗しい美女OLさま御二人と、超がつくほどの超絶美少女のお稲荷さまを目にしているのに彼は、翔太は自身の顔色を真っ青にしながら。


『ガチガチ』と自身の歯のかみ合わせで音を出し震えながら俯き、自身の胸を押さえ始めるのだよ。


 だからお稲荷さまは翔太のそんな奇行をチラと見ると。


「はぁ~」と大きく溜息をつきながら。


(また亭主の様子が可笑しくなってきたようじゃのぅ。このままだといつもの発作、心の病が出てきそぅじゃの……となれば? 儂が一人でお客を相手するしか、ないようじゃなぁ)


 お稲荷さまは何故か、翔太の心の病、発作──の原因が何を知っている。わかっている様子で彼の容姿、様子を窺いながら脳裏で色々なことを思案すれば。


「若いお姉さん達はどれがお好みなのかの?」と。


 ニコニコ微笑みを浮かべながら再度問いかける。


「う~ん、私はイチゴかな?」


 二人いる麗しいOLのお姉さん一人がお稲荷さまにイチゴよい。好みだと告げれば。


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