第19話 最後の願い

半年たって私ももう3年生。

7月、高校の最後の行事バレー大会があった。

最後の行事ってこともあって、終わった瞬間、すぐ撮影会。

体育館はあっという間に全校生徒でごった返した。

あれはきっと神様がチャンスをくれたんだよね。


心優を探していた時、翔くんと目が合った。

1000人の大群の中で起こった奇跡。

翔くんが近づいてくる。

「りあ、一緒に写真撮ってくれない?」

私の名前を呼ぶ半年ぶりの大好きな声。もちろん断るはずない。

心臓が今までにないぐらい激しく波打つ。

「うん!」

翔くんの隣。

この1年願い続けても叶わなかった。この位置すら入れなかった。

写真を撮る一瞬だけでも。


「ハイ!チーズ!」

いろんな思いが溢れて泣きそうだったけど、最後は最高の笑顔で。


―カシャー


シャッター音が鳴る。

幸せな時間は一瞬で終わってしまう。

「ありがとう。」

「うん。こちらこそ。」

きっとこれで話すのも最後。


この半年、笑えない時もあった。

人生で一番泣いた。

でも、翔くんとの日々も気持ちも一瞬だって忘れたことなんてない。

ただ、結ばれない運命だった。


翔くん、ありがと。

私と翔くんの最初で最後の一枚には一番素敵な笑顔が浮かんでた。

この一枚は私のかけがえのない宝物です。

これできっと私は前に進める。



帰り道、クローバーを拾った。

小さな四つ葉のクローバー。



              ―クローバーの花言葉は―



              「幸せになってください」




      翔くんが幸せになれますように。ずっと笑顔でいれますように。




               私の願いはそれだけです。





               『大好きだったよ。』

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