第7話 溢れる想い

翌朝、いつもよりゆっくり起きると、隼人くんからメッセージが届いていた。

『1 ヵ月記念日だね。これからもよろしく。』

覚えてくれてたんだ。1 カ月って早いな。

『こちらこそよろしくね!大好きだよ。』

打ち終えて、手が止まった。

私、隼人くんに好きって言ったことあったっけ?

一カ月たっても、隼人くんから直接『好き』って言葉は聞いたことはないし、私も言ったことない。

学校で二人で話すことすらないし、最近は毎日電話とかメールするわけでもない。

やっぱり隼人くん何考えてるかわかんない。

だって隼人くんは自分のこと何も話してくれないし、自分を見せてくれないから。

付き合ってるけど、両想いかわからないし、隼人の気持ちもはっきりしない。

『こちらこそよろしくね!隼人くん、好きだよ!』

沢山考えて考えて、送った返信。

―嘘ついた。嘘つきだ、私。

でも、大好きとは言えなかった。言っちゃいけない気がした。

ずっと見ないふりし続けてきた私の翔くんへの気持ち。

すれ違うだけでドキドキしてるくせに。

一瞬でも目が合ったら嬉しいくせに。

それでも、噓をついたのは、隼人くんにも惹かれてるから。


8 月後半、学校が始まる予定だったけど、感染症の拡大が理由で、

オンラインでの授業になった。

夏休み中の 3 週間で、私は 10 キロのダイエットに成功した。

ほとんどの授業で、隼人くんと席が近いから、恥ずかしくならないように勉強も頑張った。

私、隼人くんの彼女としてこれぐらいしか頑張れないから。

結局、この関係が居心地がよかった。

何よりも隼人を失うのが怖かった。

だから、自分の気持ちに嘘つくほうが気持ちも楽。

りあは隼人の優しさに甘えすぎていたね。

隼人はとってもいい人で、気遣いも人一倍できるし、優しい。

人としてはとっても好き。惹かれてるはずなのに、

どうして、一番になれないの?

…でも、きっといつかは。

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