第3話 気になる彼

7 月に入って、もう一学期も終わるころ。

1 学期は感染症で行事が中止になったけど、2学期には体育祭をやることになった。

クラス対抗の競技のためにチーム分けをした。私のクラスは元気で明るい子が多く、それに生徒会長も副会長もそろっているっていう最高のメンバーぞろい。楽しくなること間違いなしだよね!

早速、練習を始めることになった。1 週間たってもなかなか翔くんと話せる機会はなかったけど、クラスの皆と少し仲良くなれた気がした。

「りあー!もうそろそろ終わって帰ろー。」

心優に言われて、帰る支度を始めた。

帰り道。相変わらず心優と二人で歩いていると、

「あ、そういえば、りあ聞いた?1 組に翔くんのこと好きな子いるらしいんだけど、」

心優の言葉に、すぐに食いついた。翔くんのことだと反応早いんだよね、私。

「え、そうなの?」

「結構前から前から好きみたい。」

私より前から翔くんのこと見てたんだ。私よりも前から、好きだったんだ。

「かっこいいもんね。しかも頭もいいし、運動もできるし、頑張り屋さんだし、完璧すぎるよね。」

少し悔しかった。

「りあべた褒めじゃん、確かにそうだね。 最近ファン増えてきてるんだって。

2組に仲いい子いるみたいよ!」

ファンとか推しってよくわかんない。好きとは違うのかな?

「あーーすごすぎ、さすがモテ男!」

もっと早く出会ってたら、今頃は私も仲良くなれてたかな?

いつもは好きになったら一直線、すぐ行動のはずの私が今回は違った。好きな子って聞いただけで嫉妬した。自分に自信がなくなった。まだ何も始まってないのに。

翔くんのことまだ何も知らないのに。

でも、こんなに人を好きになったの初めてだから怖いんだ。

小さな不安が積もってく。誰にも言えない恋心をそっと胸にしまった。

「りあ!バイバイ!また明日」

「心優また明日ね。」


―ピロン。

その時、携帯が鳴った。

覗いてみると、隼人くんの友達からだった。

『りあさ、好きな人いるの?』

突然なに?

『ううん!いないよ!』

『じゃあさ、隼人のことどう思ってる?』

え、隼人くん??なんでそんなこと聞くの?

『りあは好き人いるの?隼人さ、りあのこと気になってると思うよ。』

突然でびっくりしたけど、正直嬉しかった。だって、隼人くんだよ?

『そうなんだ(笑)』

競技のグループが同じだったから、隼人くんと連絡先交換したけど、毎回返信がそっけなくて、私のこと嫌いなのかと思ってた。

その日から毎日隼人くんと連絡を取るようになった。

どんなに手を伸ばしても、どれだけ背伸びしても、翔くんは振り向いてくれない。

もうそんなの、ずいぶん前から気づいてた。

だから、このまま中途半端に追いかけ続けるより、他の人を好きになりたい。誰かに好かれたい、欲張りかな?私。

ほとんど私から話しかけてたけど、いつの間にか隼人くんと話すのが私の楽しみになっていた。

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