第31話

民宿の中に入ろうとした時、勢いよくタクシーが止まる。

「ウミエ先生!」

Tシャツにジーンズのラフな格好の男と、キレイめ系の格好をした男がタクシーから出て来た。

なんとも身綺麗にはしているが、胡散臭げな雰囲気がある二人組だが、なんなんだろうか?

「あの件は断ったじゃろがい!ワシは受けん。ほかあたれ!」

「ですが先生〜、先生しか適役がいないんですよぅ〜お願いしますよ〜」

「うるさい!何度言っても無駄や!東京に帰んなさい」

東京⁉︎そんな都会の人がなんでこんな離島に……

ますます話が飲み込めない。

「ほら姫男、はよ入り。お前らは帰れ!」

「そんなあー」

無理やりボクを引っ張って中に入れ、勢いよく引き戸を閉めた。

「なんですか?あの人たち、借金取り?」

ハッハッハッと先生は笑う。

「テレビ業界の連中だよ」

「てれび!?」

「ほら、アレだ。テレビでよく見るじゃろ?占い師が居酒屋でいきなりお客さん占うやつ。あれじゃよ。あれのプロデューサーとADだよ」

「えええーーーーーー!?」

それ、絶対断っちゃいけないやつ!

全国ネットで有名になれるチャンスなのに、なんで!?

「まあ、ここに来る……っちゅうことは、人手が足りてないのか、なんなんかわからんが……そして姫男、お前さんももう奴らに顔を覚えられとる。姫男はお世辞抜きで可愛らしいけえ、早々に目をつけられるな。気をつけな。……その話は早い段階でせないかんな」

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