第2話お礼とついたもの

 お礼に出出向く。

 五円玉と換金用の500円。

 チャリン

「ありがとうございました」

 あんなことはしてはならない。

 人を呪わば穴二つなのだ。

 だから悔い改めていきたい。


「へんなお願いをして申し訳ありませんでした」

「申し訳ありませんでした」

 ぎょっと横を振り返ると彼女が立っていた。

「あなた、なんでここに」


「なんででしょうか?」

「ニート、それともフリーター?」

「か、会社員だよ」

「フリフリのロングスカートで?」

 オフィスカジュアルには見えない。

 それで会社員は無理があるだろう。よくて学生だ。

「うん」

 アパレル以外でそのカッコで勤められるのだろうか?

「私のことは良いからちゃんと拝んどかないと、本当に失礼になっちゃう」

「……そうね」

 彼女の言うこともにも一理ある。

 気にしないようにして目をつむった。

 謝罪を3回唱え、ついでの般若心経も唱える。

 正確に唱えられたかは自信がないが、一応だ。


「私ねぇ座敷童なんだよね」



「え? ザシキワラシ」

 想像していたのよりずっと大人だ。

「そう。ここの神社の神様から早く出て行けって言われてて」

「は? 神様?」

 やべー。なんか変な人だった。いや元から変だったが。

「私これで」

「あっ、変な奴だと思ったな」

 逆にそれで正常な対応されたらどう思うのか。

「座敷童とかそういうのって通常見えないものじゃないの?」


「ふふん。一部の座敷童は能力そのまままにおとなになることもあるんだよ」

「それもうワラシじゃないよね」

「てかここの神様って見えるってこと? 失礼なお願いしたよね」

「まぁそうだよね」

「ですよね」

 始終困惑顔の私に嫌気が差したのか仕方ないなぁーと頭をかいている。

「元の姿になるよ」


 ポ ポ ン


 幼女のおかっぱヘアで浴衣姿。

 多分、現代の人が「座敷童」といわれたらぼんやり思い浮かべるような姿形になった。

「これで満足?」

「ハイ」

 ただ単におかしな人ではなく、異質な存在であることはわかった。

「んじゃ。神様、お世話になりました。私しばらくこの人の家に行くから」

 自称座敷童は勝手に押し掛けることが決定事項になっている。そして何やら話しているらしくごにょごにょ相槌が聞こえる。

「うんうん。おっけー」

「まっかせなさーい」

 などなど。不安でしかない。

「じゃ、おねーさんの自宅に行こう!!」

 なにかしら神様同士で話が付いたようだ。

「一人暮らしだから構わないよ」

「やったー」

 何やら元気な子になつかれた。

 仕事に支障がでないか、不安になる。

 テコテコと自宅に帰っていくのだった。






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