一人の時間

俺は、風呂から出て体を丁寧に拭き篠宮が置いていった服に着替えた。あいつが居るであろうリビングに向かうと主食、主菜、副菜、汁物としっかりと栄養バランスがとれた料理がテーブルクロスの敷かれている机の上に置いてあった。

「あぁ、上がったのか、俺も風呂に入るから先に食べとくか待っといてくれ」

「誰が待つかよ」

意外ときちんとした料理を作る事に少しムカッとしてつい強い口調が出てしまった。

「フッ…イイ子にしとけよ?」

そう言って篠宮は風呂に入って行った。

なんだよ…イイ子にしとけよ?…って仕方ねぇから大人しく待っといてやるか…それにこの料理を作ったのはあいつだしな。でも、少しくらいなら先に食べても良いんじゃないか?出来たてが勿体ないだろそう思った俺は、手を合わせていただきますをして人参、大根、油揚げ、ワカメの入った味噌汁を一口味見した。

え……、うまっ!しっかりと鰹だしの味がするし、味噌の溶かし具合も薄すぎず濃いすぎずで丁度良い。粗雑な奴だと思っていたけど案外きっちりした性格なんだな〜と、あいつが居ないのに1人で感心したのだった。

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