「キスする?」本当の意味は?

aki

第1話

高校3年生の春、僕は彼女に出逢った。

新しい、クラスになると、みんな

知っているので、直ぐに仲良くなった。

隣の席は、井上千夏(チナツ)、前は

武田和弘、後ろは、真鍋沙織、壁際だった

ので、この3人と良く、話をしていた。

男女関係を抜きで、楽しめる仲間だった。

井上以外は、進学なので、それぞれに

息抜きをしながら、勉強をしていた。

僕の息抜きは、ゲームだった。

武田も、一緒だった。

どうやら、男子はゲームが多かった。

女子は、どうなんだろうと気になり

井上に聞いてみた。


「井上、お前の息抜きは何?」


「私?私は1人カラオケだよ!」


「1人カラオケ?」


「そうよ、大声を出して、歌ってみなさい

スカッとするわよ!」


「へぇー真鍋は?」


「私は、ランニングだよ!」


「ランニング!」


(みんな、個性的だな?)

何時も、休憩時間は、この4人で話を

する事が、多かった。

僕の友達の、森村譲がたまに輪に入る。

山口園子と、言う子も入って来る。

井上の友達らしい。

1人カラオケに、興味を持った僕は、井上に

聞いてみた。


「なぁ、井上?今度その1人カラオケに

連れてって、くれよ。」


「駄目!1人だから、いいのよ!」


「山崎も、1人で行きなさいよ!気持ち

いいから!」


「そうか?」


「お勧めだよ!」

放課後、掃除当番の僕と井上。

2人で掃除をしていると、突然、井上が


「山崎って、キスした事、有る?」

と、聞いて来た。


「無いよ、彼女居ないし、井上は?」


「無いよ、でも彼氏と彼女じゃ無いと

キスしたら、駄目なの?」


「普通はそうだろう。」


「キスする?」

僕は、顔が火照るのが分かった。


「な、何言ってんだよ。」


(恥ずかしい、井上どうしたんだ?)

次の日も、2人になると


「キスする?」

と、言って来る。

最初は恥ずかしくて、顔がまともに

見れなかったけど、こんなに言われると


「おはよう。」

と、同じ感覚になる。

慣れと言うのは、恐いものだ。

学校の休みの日は、反対に寂しい位だった。

何時も、言ってばかりの井上が、ある日


「キスする?」

と、言って僕の唇に、自分の唇を重ねた。


「えっ!どうした!」


「ファーストキスだね!」

と、肩をすぼめて、笑う。


「僕のファーストキスを、返せよ!」


「もう、無理だね、奪ってしまったから!」


「どう責任を取るんだよ!」


「じゃあ、今度は山崎から、キスする?」

僕は、思わず井上に、キスをしてしまった。


「これで、おあいこだね。」


「何か、違うだろう?」

でも、井上は行ってしまった。


(ファーストキスって、こんな物か?

もっと違うよな~)

と、山崎は思っていた。

次の日も

何も無かったかの様に、授業を受ける

井上。

休憩時間も、みんなで話をしている。

何も変わらない。

ただ、山崎だけが井上千夏を、意識して

見る様になった。

元々、整った顔立ち、スタイルも良くて

頭も良い、欠点が無いのだが、陽気なので

女性として、あまり意識する事が無かった。

よく見ると、モテ無い訳が無い、井上千夏

だと気が付いた。

それでも、アタフタすると、バカに

されそうなので、平静を装った。

内心は、ドキドキしていた。

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